2012年12月21日金曜日

PCRTアドバンス2研究会参加者各位

研究会へのご参加ありがとうございました。毎度のことではありますが、あまりにもボリュームが多すぎて消化不良になった先生方も多かったように感じます。来年度は今年の反省を含めてプログラムの大幅な改革が必要ではないかと考えています。

改革といっても基本的なことは変わりません。より学びやすいようにプログラムをシンプルにしていきたいと思います。ご参加いただいた方の多くは、臨床現場ですぐに使えるテクニックを望まれているようです。そのようなニーズにお答えするためにも、実技中心にすぐに使えるテクニックをしっかりと習得していただけるプログラムになるように工夫したいと思います。

しかしながら、治療効果を出すためには安定した検査法が必要です。検査法を安定させるためには、単にテクニックだけでは習得できないようです。これは今回気づいたことですが、安定した検査法を習得するためには、小手先のテクニックよりも、何の「反応」を見ているのかをしっかりと理解していることが大切です。

PCRTで診ている「反応」は何ですか?という質問に的確に答えられる先生は、恐らく安定した検査反応がでているのではないでしょうか。このPCRTで診ている検査「反応」に対する理解は、単に文言を理解するというのではなく、その理解が心から腑に落ちて確信できているというレベルの理解を意味します。

「PCRTで説明していることは分かるが、自分の考え方は違う・・・」では、恐らく何の反応を診ているのかが理解できずに、単に技術的な診方をマニュアル通りにしているだけになるでしょう。したがって、脳は「反応」をキャッチできずに機械的に足の長さが短いか長いか、あるいは、力が強いか、弱いかなどを見ていることになり、曖昧な変化しか読み取れないのではないでしょうか?

よって、PCRTの神経反射検査法で明確な「反応」が引き出せるようになるためには、「反応」とは何か、そして、それがどのようなメカニズムで反応として現れているのかが説明できるくらいに理解していることが必要です。そして、その理解の深さが、検査反応の現れ方に密接にかかわっているように感じております。

それは機械論的診方と有機論的診方の違いを深く理解しているかどうかにもつながるでしょうし、傾向として、その理解度の深さが検査反応の明確さにもつながるのではないかと感じております。すなわち、検査反応が明確に分かるようになるためには、PCRTで診ている「反応」とは何かを治療哲学的にしっかりと理解されることが近道になるのではないかと思います。

効果のあるマニュアル的な技術を学ぶことも大切ですが、より深く、より幅広く臨床で応用するためには、やはり、哲学的なことや概念的なことをしっかりと理解されることでより一層治療技術に磨きがかかるのではないでしょうか?

さて、先日のAdvance2研究会でお約束したテキスト訂正の件ですが、混乱を招いた原因は用語修正ですので、その用語の説明を明確にさせていただき、全体の修正箇所がご理解いただけるようにご説明させていただきます。

そのために、小テストで提出していただいた、「単一検査法」と「組合せ検査法」の違いと、「ハード面の調整法(直接的調整法)」と「ソフト面の調整法(間接的調整法)」の違いをご説明させていただきます。

まず、その説明の前に、PCRTでは何をターゲットに検査をして施術をしているでしょうか?それは、エネルギーブロック(EB)です。EBを解放させることで症状が改善されます。言い換えると様々な症状は、治癒力を妨げるEBによって引き起こされているということが言えますし、EBが解放されれば、症状は自然に治るという原理に基づいています。

EBの原因の多くは、五感パターンや感情パターンの学習記憶に関連しています。脳や身体に条件づけされた学習記憶の程度によって、学習記憶が浅い場合は、ハード面の施術のみでEBが解放され症状が改善される場合もあり、学習記憶が深い場合は、ソフト面の施術が必要になります。


よって、ハード面からソフト面までのEBにはそれぞれの構造、機能、関係性(心身相関)、メンタルというレベルがあり、そのレベルは学習記憶の程度、深さに関連があるようです。先にも述べたように、有機的な検査を行う際、ハード面の機能的EB検査なのか、ハード面とソフト面との関係性のEB検査なのか、あるいはソフト面のメンタル的EB検査なのかというターゲットを明確にすることは、正確な神経反射反応を引き出すことにつながります。そのような検査レベルや施術レベルのターゲットを明確にすることは、施術効果を引き出す上で重要になります。

ハード面のEB調整法は、身体関連のEB(症状部位、関節、筋肉、経絡、肉体内外、チャクラ)に対する直接的な施術によってEBを解放させて、症状を改善させる調整法になり、ソフト面のEB調整法は、身体に学習記憶された五感や感情パターンに対する間接的な施術によって、身体関連のEBを解放させて、症状を改善させる調整法になります。

注釈として、「EBに対して直接か間接か」がポイントで「症状に対する直接か間接か」ではありません。

PCRTで使う臨床的な検査法には、以下の3つがあります。

① 症状の検査
② エネルギーブロック(EB)の検査
③ EBに対するパターン学習記憶の検査

EBを特定する検査法には「単一検査法」と「組合せ検査法」があります。単一検査法とは、特定の刺激情報に対して、神経反射検査法にて陽性反応を確認する検査法です。組合せ検査法とは、複数の刺激情報を一度に組み合わせて、神経反射検査法にて反応(陽性or陰性)を確認する検査法です。

このような概念的な説明は、直接的には臨床で役立たないかのように思われがちですが、全体の概念を把握することは、様々な患者さんに対応できる「応用力」につながります。一つ一つの施術ツールをマニュアル的にマスターすることも大切ですが、そのツールがどのようなつながりを持っているのかという全体像を把握することもとても重要です。

部分と全体との関係性を考えながら、さらに臨床にお役立て頂ければ幸いです。

2012年12月6日木曜日

2012年度PCRT Advance2 研究会へのご案内

こんにちは、心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)代表の保井です。

先日、日経新聞を読んでいて、「SINIC理論」という文字が目に留まりました、それはオムロンの創業者・立石一真が1970年の国際未来学会で発表した未来予測理論です。未来学者アルビントフラーの未来予測と類似していると思われますが、その理論によれば、14世紀までの社会を「農業社会」と位置づけ、その基盤の上に「工業社会」を積み重ね、この工業社会をさらに細分化すると、手工業社会、工業化社会、1870年以降の機械化社会、さらに20世紀に入っての自動化社会、20世紀末から21世紀の入り口までの情報化社会に至っているとのことです。

特に20世紀は、機械化社会、自動化社会、情報化社会と、3つのプロセスが急速に移行する100年でした。そして、工業社会の最終段階である情報化社会の後には、2005年からの「最適化社会」、そのあと2025年からの「自律社会」へ移行すると予測されています。現在は「最適化社会」で、13年後からは「自律社会」が始まると予測されます。そして、情報化社会から最適化社会へ移行する際に、生体制御技術が発展し、バイオネティックスからサイコネティックスへ、さらに最適化社会から自律社会へ移行する際に、精神生体技術が発展し、サイコネティックスからメタサイコネティックスへ科学が発展すると予測されています。

この理論はあくまでも予測ではありますが、このような未来予測の理論に触れると、本研究会も未来を先取りして研究が進んでいるように感じる今日この頃です。さて、今年最後のPCRT Advance2研究会まであと10日ほどに迫りました。今回は、以前からご紹介させていただいている持続圧振動法と持続振動調整法を総合的にまとめて「持続刺激調整法」の総論としてご紹介させていただきます。この持続刺激調整法は今までの研究成果の点と点がつながって、ある程度体系化された感じです。また、前回ご紹介したセルフイメージの検査、施術法を客観的イメージ調整法として、復習も兼ねて分かりやすくご紹介します。

それ以外には、進化したPCRTの患者教育手法、肉体内外(チャクラ含む)EB特定法、脳神経刺激調整法、そして、めまい、耳鳴り、難聴、アレルギー症状、婦人科領域、腹部・内臓領域、乳幼児・小児、動物、不眠症、気分障害などの各論をご紹介する予定です。現在、ご協力いただいているスタッフの先生方とスカイプにて毎週30分程度の研修を行っています。この研修を通じて、研究会では何が伝わりにくいのか、どのように説明すればもっと理解しやすいのかという気づきをたくさん得ることができました。

今回の研修を通じて、想像以上に「提供する側」と「受け取る側」とのギャップが多々あることに気づかせていただきました。それはおそらく治療技術はもとより、患者さんへの治療法の理解にもつながる重要なことなので、説明した内容が本当に伝わっているのかどうかをしっかりと確認しなくてはならないと改めて感じました。特に「持続刺激調整法」の総論では、今までのハード面の施術を総合した内容になりますので、今年配布されたBasic1からAdvance1までのテキストをすべてご持参下さい。用語の変更なども多々ありますので、過去のテキストと照らし合わせながら分かりやすくご説明させていただきます。

それでは、会場で皆様と再会できることを楽しみにしております。

2012年11月29日木曜日

健康への道を制限する「信念」の壁を取り去る

通常の医学モデルでは腰痛や膝痛の患者さんに対して、安静指示やコルセットによる固定などで動きを制限することで痛みを軽減させるアプローチがとられます。さらには、「○○の姿勢は腰痛を引き起こすからよくない」「○○の動作は腰痛を引き起こすからよくない」など自由に身体を動かすことを制限させる指導が様々な角度から伝えられます。

痛みを抱える患者さんはその指導を忠実に守り、何の疑いもなくその姿勢や動きが痛みの原因と思い込み身体を制限させる行動をとるようになります。するとその制限したことによる不自然な姿勢や動作が原因となって、筋肉のバランスに悪影響を及ぼすこともあり、二次的な症状に悩まされることがあります。身体を制限させる指導は、身体の動きや不自然なバランスを引き起こす不健康な「暗示」になっているかもしれません。

情報化社会といわれる今日では、様々な情報が錯綜しています。特に身体の症状に不安を感じている時には、藁をもつかむ思いで、いわゆる権威者による情報を信じてしまい、自分の身体の感覚を信じられなくなっている場合も少なくはないようです。

もしも、自分の身体を制限させ、不健康にさせるような信念体系ができている場合、その「信念」の書き換えが必要になります。そのためには、その「信念」がプログラム化されるに至った情報がどこから入ってきているのかを探索しなければなりません。その探索を効果的に引き出してくれるのがコーチングによる質問です。

踵の痛みが慢性的に継続している患者さんがいました。通院していただきながら、だんだんと改善してはいるものの、足関節の異常バランスが元に戻るということが見えてきました。教師をされているので立位姿勢が多いのですが、デスクワークの際の足の位置を尋ねてみると、不自然な位置にあることが分かりました。それは、膝関節部が股間関節部よりも下位に来るようにして、つま先が後ろに向いて足の裏は上に向けるようにしているとのことでした。

通常では、足の裏が床に就くことが自然ではありますが、足の裏が床についていない不自然な状態とのこと。「そのような姿勢をとるようになったきっかけは何ですか」と尋ねると、「膝関節が股関節よりも上に来る位置に腰かけると腰によくない」とある先生に指導されたとのこと。もう一つの理由は、腰痛を予防するために、バランスが取れる椅子を使用していたとのことでした。

その人にとって何が自然で何が不自然なのかその人の身体のみ知ることでしょう。大自然が常に変化するように、身体の姿勢がその環境や感情に応じて常に変化するのが自然体を維持するということなのかもしれません。自然な健康体を維持するためには、様々な健康情報から引っ張り出した知識よりも、その人にしかないオーダーメイドの健康管理が大切です。

 そのために治療者や患者さんは、単に健康情報を鵜呑みにするのではなく、本当にその情報が自分に合っているのかどうかということを吟味して、不健康な信念体系ができないように注意することが必要です。もしも、不健康にさせている信念体系ができている場合は、コーチングによって複雑に絡み合った信念の糸をほぐすように整理して、自分に合った健康管理の道やゴールを見つけ出すことが効果的でしょう。

2012年11月28日水曜日

コーチングスキルが臨床現場で活かされる


先日、不眠症で悩む患者さんが二日連続で通院され、約5年ぶりにまともな睡眠を取ることができたとのご報告をいただいた。その患者さんは、睡眠時間が毎日平均して2~3時間で、頭痛や気分の落ち込みが時々あるとのことで来院。休職中で早く復帰したいとのこと。大学の附属病院の心療内科や他の精神科も受診。

約6年前にうつ病と診断されて投薬治療を始めたが効果がないとのこと。最近受診した医師の診断では、「うつ病」ではなく「気持ちの持ちようだ」といわれ、漢方薬を処方されたが効果がなかったらしい。

最初はご本人よりも奥様の方が何とかしたいという印象を受けた。お住まいが遠方なので継続して治療を続けることが難しい状況。初めに2日間連続で来院された後、3か月後に再度2日間連続で来院していただき、今回の来院で改善への突破口が開かれたように感じた。

「不眠」の症状を改善させるために、単に身体的な機能を回復させるだけでなく、不眠に至った原因やプロセスを把握し、不眠という症状を創りだすプログラムの再構築が必要になる。不眠を引き起こすプログラムは患者さんによって様々である。「そのプラグラムはどこからどのようにして構築されたのか」その探索への道のりを患者さんと共に歩きながら改善へのカギを見つけ出すことがポイントになる。

そこで大切なのは、患者さん自身が主体的にその探索に関わるということ。そして、治療者が評価や判断をするのではなく、患者さん自身の経験に基づいた「気づき」を得るということ。その探索への道のりで治療者に求められるのは、患者さんへの「質問力」である。どのような質問を投げかけるかによって、今まで考えたことのない思考へのスイッチが入る。すると今まで考えてもいなかった領域に「スポットライト」が当てられる。

この新たな領域にスポットライトを当てることが、「負のサイクル」から抜け出す改善への第一歩を踏み出すきっかけとなることが多い。脳への大きな刺激となる「質問」は、患者さんとの関係性の中で瞬間、瞬間に創り出される。マニュアル的に用意された質問を投げかけるのではなく、それぞれの患者さんの経験に応じて、その場その場で直感的に質問を投げかけることが必要になる。その「質問力」や「直観力」を身に着けるためには、知識だけでなく「トレーニング」が必要である。

コーチングのトレーニングにおいては様々な経験を積みかさねて自分の血肉にしていくことが必要である。コーチングに関わる知識情報を知ることも大切だが、実践的なコーチングでは単に知識を持っているだけでは活かしきれない。人のメンタルや行動に関わる問題は、つかみどころがなく、答えは常に患者さん自身の中にある。

患者さんとの「より良い関係」を優先するが故に、患者さんと同じ思考ラインに入って、患者さんが考えているパターン領域しか見えない、見ようとしないということもあるだろう。患者さんを刺激しないように不快な感情を与えないように細心の注意を払うかもしれない。しかし、患者さんが求めている症状を改善させるためには、時には鋭い質問を投げかけることも必要になる。患者さんとの信頼関係にひびが入るかも知れないということも踏まえてのチャレンジ的な質問も必要になるだろう。

コーチングでは常にクライアントの「主体性」を引き出すことが基本となる。誰かにさせられている、誰かに責任を転嫁するというパターンでは、本質的な問題が解決されないことが多い。治療者は患者さんの肉体的、メンタル的な問題を解決するお手伝いをするうえで、時には指導や助言を行いながらより健康になれるようにサポートをしていく。その過程の中で、患者さんの「主体性」を引き出すことはとても重要な課題になるだろう。

本当に役立つコーチングを身に着けるためには知識だけでは限界がある。実践的なコーチングのトレーニング受講することで、コーチングの本質を肌で感じ、実戦で何度もチャレンジと失敗を繰り返し、さらに受講者間で信頼関係に基づいた深いフィードバックをし合いながらコーチとしての基礎を築き上げていく。

通常、コーチングの効果を測るためには、コーチングの前と後の数値的な比較が必要になる。その結果を見て初めてコーチングの成果が分かることが多い。しかし、施術の中で取り入れているコーチングの場合、いつコーチングをされ、どのようなコーチングをされたのか分かりにくいことが多い。特に複雑な症例の施術効果の背後には随所にコーチング手法が何気なく使われて自然に施術効果が引き出されていることが多い。

コーチングの学びの中で、「質問力」に加えて奥深さを感じさせるのは「フィードバック」である。コーチングのトレーニングを受けると、見方のバリエーションが幅広くなるため、自分自身の振り返りと同時に幅広い視点から物事をとらえ、様々な角度に「スポットライト」を当てる技能が身に付きやすくなる。コーチングは治療効果を最大限に引き出す「縁の下の力持ち」になってくれるだろう。

2012年11月16日金曜日

なぜ、集中継続治療が大切なのか?

治療院を訪れる患者さんにとって「すぐに治るのですか」ということは大きな関心ごとです。多くの治療者はできるだけ早く患者さんの苦痛を和らげるため最大限の努力をするでしょう。骨折や切り傷などの外傷は、その程度や年齢に応じて、患部の組織が修復する期間がある程度予測できます。それは、自然治癒力という治す力が備えられているからです。

組織が損傷したことによる症状であれば、擦り傷が日を追うごとに治ってくるように、自然治癒力によって修復され、それに伴って症状も改善されます。これは「損傷モデル」ともいわれています。医学の基本はこの「損傷モデル」から始まっていることから「メディカルモデル」ともいわれています。この「損傷モデル」は外傷をはじめとする様々な病気の治療に多大な貢献をしてきました。

しかし、情報化社会が進化するにしたがって、病気や症状の種類も多様化し複雑化してきました。そして、単に「損傷モデル」だけでは対応しきれない病気や症状が増えてきているのが現状です。「いつ治るのか」ということがはっきり言えないのが慢性症状です。最近の研究ではそのような慢性症状は、「生物・心理・社会的モデル」といわれています。これは、主に組織損傷を原因とする「損傷モデル」に対して、神経生理学的関係性や心理社会的関係性を原因としています。

したがって、「生物・心理・社会的モデル」は幾種類もの原因パターンが複雑に関係しており、症状の改善はその原因パターンの修復次第ということになります。その原因パターンとは身体、特に脳・神経系に学習記憶されており、様々な場面でスイッチが入り、症状が引き出されます。脳・神経系に学習記憶されているパターンは、目には見えない症状を引き起こすプログラムのようなものです。そのプログラムを修正するために学習記憶の上書きが必要になります。

慢性症状がいつ改善されるかどうかは、症状を引き起こしている学習記憶のパターンの種類や数によって異なり、「損傷モデル」のように症状別にいつ治るかを予測することは困難です。学習記憶という意味を分かりやすくいうと、症状を引き起こす身体の「クセ」です。知らない間に蓄積された症状を引き起こす「隠れた習慣」のようなものです。したがって、その「クセ」を治すためには、バランスの良い状態を身体に再学習させることが必要で、バランスの良い状態にクセづけるように繰り返し治療をすることが必要です。

集中して継続治療することで、どの原因パターンが改善されて、どの原因パターンがぶり返しているのかが明確になりやすくなり、治癒力も強化しやすくなります。勉強の記憶学習や身体で覚えるスポーツのように、最初に集中して治療することで、身体はどのようにして治していくのかを学習記憶していくわけです。治療の間隔が開き過ぎると、記憶が定着せずに振り出しに戻りやすくなります。

慢性症状の状態が長く、症状につながる学習記憶のパターンの数が多ければ多いほど治療回数もその数だけ必要になります。慢性症状を治すための集中継続治療は、治癒力を強化するための必要条件です。慢性症状をかかえている患者さんの多くは、その症状が当たり前のようになって、この症状は治らないと思い込んでいる方が多いようですが、基本的に人の身体は治るようになっています。慢性症状を治すポイントは、いかにして症状につながっている学習記憶されたパターンを消去できるかどうかです。

「継続して治療すると症状が戻りにくくなるということがよくわかった」という体験をされた患者さんへのインタビューです。



2012年11月7日水曜日

「考えるだけで家電操作」と「イメージだけで検査治療」

2012/11/2付の日経新聞に「考えるだけで家電操作」という見出しで記事が紹介されていました。考えるだけで車いすを動かしたり家電を操作したりできる“賢い住宅”を開発しており、住んでいる人の頭部にセンサーを取り付けて脳波の変化をコンピューターに送信し指令を出す仕組み。2020年前後の実用化を目指すとのことです。

数年前からこのような脳波を読み取って機会を動かす技術研究は進化しています。このような技術を日常生活で使うことが十数年後には当たり前になっているかもしれないですね。そうして考えると、ファミリーカイロで行っている「イメージしながら検査」、「イメージしながら治療」という治療法(ニューロパターンセラピー)もそのうちに「不思議な治療」から「当たり前の治療」へと変化してくるかもしれません。

治療した後は良くなるけれども家に戻ると症状がぶり返す、あるいは職場に行くと症状がぶり返すという「ぶり返すパターン」を調べる際に、どの場面で症状がぶり返しているのか検査をします。脳は緊張するパターンを学習記憶していますので、その場面をイメージしてもらうと「反応」を示します。

その場合、その場面での身体の誤作動状態を引き出したまま治療することが必要になりますので、患者さんにはしばらくその場面をイメージしてもらったままで治療を施します。身体に学習記憶された誤作動のパターンは視覚的な場面だけでなく、動作や姿勢にも関係していることがあります。

このようにイメージしながら検査、治療するということは機械的に考えると不思議に思えるかもしれません。しかし、脳(心)と身体は密接に関係し合っていますので、あえて言えば、イメージしながら治療するということが本質的な症状の改善につながるわけです。

 
最近、患者さんから、症状に結びついている可能性がある季節のパターンや周期的なサイクルのパターン検査を求められることが増えてきました。このように積極的に症状のパターンがどこからきているのかを探すことは症状を改善するうえでとても大切なことです。

一般的に「身体の問題は構造的な問題」という身体を部品としてみる機械的な考え方が、多くの人達に染みついています。しかし、本質的な原因はその奥にある無意識のパターンや習慣にあることが多いようです。もしかすると、○○のパターンが影響しているかもしれないということがありましたらお気軽にご相談ください。


この動画ファイルは、イメージによる治療を受けた患者さんの音声インタビューです。

2012年11月5日月曜日

「セラピー」から「コーチング」への橋渡し

日本ではセラピー、あるいはカウンセリングという言葉は一般的によく知られているようだが、コーチングというものにはまだまだ馴染みがないようだ。

セラピーやカウンセリングを必要とするクライアントは、肉体面、あるいはメンタル面に苦痛があって、それを改善したいという人が多いだろう。そして、セラピストやカウンセラーはクライアントの問題を改善、あるいは軽減するために、主に過去の事柄に焦点を当てながら問題の原因を、様々な角度からサポートする。

実際のセラピーやカウンセリングでは、肉体的、あるいはメンタル面の苦痛を少しでも早く軽減するために、現在の状況を具体的に知るための質問をして、肉体面であれば治療的なワークを施し、メンタル面であれば、その悩みや不満を改善するためのガイダンスや助言を行ったりする。
一方コーチングでは、肉体的、あるいはメンタル的に生活に支障があるほど問題ではないが、より豊かな人生を望むクライアントが多い。コーチはクライアントがより豊かになれるゴールへと向かうために、主に現在と未来に焦点を当てながら、クライアントの今までの思考習慣、ならびに行動習慣が変化できるようサポートする。

コーチングでは、現在の状況をより具体的かつ客観的に表現し、認知することでよりコーチングのサポート力が高まる。しかしながら、全てのクライアントが現在の状況を具体的かつ客観的に表現できるとは限らない。特定の課題や問題に対して批判的になったり、善悪の判断にこだわったりして、ネガティブな感情や負の行動のサイクルから抜け出せずに現状が変化しない場合もある。

ネガティブな感情を改善するためには適切なセラピーが必要になるだろう。ニューロパターンセラピーでは、ネガティブな感情に関係する他の感情のキーワードを検査によって引出し、それらの感情を整理しながら生体反応と結びついている神経生理学的異常反応を消去する施術を行う。さらに、必要であればコーチングの手法を取り入れて、クライアントの「理想の状態は何なのか」、「どこへ向かいたいのか」など、未来のためのサポートを行う。

セラピーもコーチングもクライアント自身から生まれる気づき(自己洞察)を大切にする。治療的セラピーによるクライアントの気づき(自己洞察)によって大きな変化がもたらされることもあるが、実生活の中での過去の行動様式や思考パターンのサイクルから抜け出して、新たなサイクルへとシフトしていかなければ、その気づきがひと時の自己満足で終わり、実生活の中では何も変わらず元の負のサイクルをぐるぐるとまわっているだけということも少なくはない。

多くのクライアントは時には肉体面ならびにメンタル面の苦痛の改善を目的とする「セラピー」が必要になり、また時にはより豊かで理想の未来をサポートするコーチングが必要な場合もある。ニューロパターンセラピーは、その両方の橋渡しをしながらクライアントがより豊かな人生が送れるように全体的なニーズをサポートする。

2012年10月31日水曜日

脳室周囲白質軟化症の施術

脳室周囲白質軟化症と診断された1歳6か月の男の子が来院。改善の目的は筋肉を柔らかくしたいとのこと。大学病院でも検査やリハビリを受けているそうだ。週に2回ほど定期的に通院していただき、5回目くらいには明らかに筋肉の緊張が緩んできているのが分かった。ご家族の方も下肢の筋肉がやわらかくなってきていることを実感され喜んでいただいている。

施術法は、アクティベータ療法とニューロパターンセラピーの「持続刺激調整法」を併用している。後者の持続刺激調整法は最近開発した施術法であり、筋緊張のバランスを調整する施術法としてはとても効果的である。

以前から脳梗塞などによる後天的な痙性麻痺における四肢の筋緊張にはかなり効果的であるということは臨床で確認できていたが、今回、このような先天的な脳性麻痺の患者さんにも併用して、明らかに効果的であるということが分かった。

この持続刺激調整法は、今まで開発した施術法の中では比較的簡単な施術法であると私は考えている。簡単とはいってもある程度の基礎知識や研修が必要だろう。しかし、専門知識のないお母さんやお父さんが自宅でお子さんに施術をしてあげることができたとしたら喜びも広がるだろう。

将来的には、このような自宅で施術ができるプログラムも視野にいれて、さらに研究を進めて、専門家でなくてもお子さんに施術ができるようなプログラムを広めていくことができればと思う。

お子さんのお母様へのインタビューです。


2012年10月28日日曜日

環境を変えるよりも自分を変える?

ある患者さんが、「この病気の原因は今の職場なので、職場を変えたい」という願望があるとのこと。でも生活や今後の将来のために、すぐにその環境を変えることが出来ないという。あと二年ぐらいは何とかそこで頑張らねばならないという。神経反射反応ではその矛盾で誤作動反応を示した。

コーチングによる様々な角度からの質問により最終的には自分自身を変えることに意識を向けたほうが柔軟性が高まり、自分の将来のためになるということに気づかれた。これはとても大切な気づきを得たということはご本人も自覚されていた様子。

通常、何か問題があると、他人や組織などの周りの環境が原因だと外に目を向けがちになり、自分の内なる原因には目を向けようとしない。自分の身を守るために外にばかり目を向けて外敵から避けようとする。

もしも、知らない間にそのようなクセがついてしまうとどうなるだろうか?問題が生じると自責よりも他責に目を向ける癖がつく。極端な言い方をすると、周りの人や環境は「加害者」で、自分は「被害者」になるという構図を知らず知らずに作ってしまうかもしれない。

被害者になる癖がつくということは、自分が加害者にならないように、常に外に加害者を創り出すということでもある。もしも、目の前にある環境は、自分が選択して、自分が創り出した環境であるという思考が働いた場合どうだろう?

「誰の責任」とか、「正しいとか正しくない」という議論もあるだろうが、自分自身や周りの人や環境を非難するという思考よりも、「自分が創り出した環境であるのなら、自分で創りかえることができる」と考えてみよう。

恐らく、「相手が・・・だから・・・できない」、「組織や会社の方針が・・・だから・・・できない」という反論があるかも知れない。

しかし、できない理由を見つけるよりも、できる可能性を見つける方が賢明ではないだろうか?もしも、人間として成長したいという前提があるのなら、できない理由を探すよりも、できる可能性にチャレンジする方が明らかに成長への切符をたくさん手に入れることができるだろう。

ノーベル賞受賞者や発明家などは口をそろえていう。それは、「多くのチャレンジ、失敗があるが故に、偶然にその成功がつかめた」ということ。偉大な発明でなくても、私たちは人として「成長」するために、実生活の中で失敗を恐れずに、繰り返しチャレンジし続けることが必要ではないだろうか?

2012年10月15日月曜日

「台風が来るときには必ず頭痛がする」???

15年来頭痛で悩まれていた患者さんから随分改善されてきたとの報告をいただいた。施術をはじめてから約3か月間、10回目の施術を終えていた。初診時には頭痛以外に首や肩のコリも慢性的にあるとのことだった。

脳神経外科も受診されており、MRIなどの検査を受け頓服薬を処方されたとのこと。緊張型の頭痛は月に1~2回、偏頭痛は数か月に1回。偏頭痛がひどい時には吐き気を伴い、一日寝たきりの状態だったとのこと。

施術では、アクティベータ療法とニューロパターンセラピーを併用した。この患者さんの場合、来院時には頭痛がない場合が多かったので、頭痛があるときのイメージをしてもらい、条件づけされた「緊張パターン」を検査して施術することが多かった。

15年来抱えていた慢性的な頭痛だったので脳に学習記憶されていた「緊張パターン」も複数重なっていた。その中でも特徴的だったのが「台風が来るときには必ず頭痛がする」、というパターンだった。

通院中に、何度か台風が近づいたりしていたので、実際にその台風で頭痛がぶり返すのかどうかを確かめることができた。身体の検査反応に従って2回ほど台風に対する治療を行った後には、台風による頭痛は改善されたとのことだった。

台風に限らず、雨や曇りなどの気圧の変化でも頭痛や肩こりなどの体調不良を訴える患者さんも少なくはない。病院でその症状を訴えると「気のせい」ではないかということで済まされたという患者さんもいた。

私もこのような本質的な治療法を研究するまでは天候の変化で頭痛や肩こりが生じるということには理解に苦しんだ一人でもある。現在では、天候の変化で症状を訴える患者さんはもちろん、患者さんが症状を訴えなくても症状の因果関係を検査していると、気圧に対する過敏反応が明らかになってくることも少なくはない。

このような気圧の変化が原因で体調不良を引き起こすパターン(学習記憶)を抱えている人は少なくはないと思うし、それに対する治療法があるということも知られていないだろう。このような環境の変化に対して身体に適合、あるいは調和させる治療法をもっと世間で当たり前になるように広める工夫が必要だ。

患者さんへのインタビューです。

2012年10月9日火曜日

PCRTアドバンス1研究会報告(その2)

次に今回のアドバンス1の研究会で大切な内容は、「ハード面からソフト面への施術移行」だろう。この心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)の初期の研究会から、心と身体の関係性に対するアプローチの仕方をご紹介してきた。しかし、メンタル面のへアプローチの仕方が強調され過ぎたようで、メンタル面の良し悪しにフォーカスしてしまい、メンタル的な問題が身体に影響を与えているかのようなとらえ方をされている施術者も少なくなかったようだ。

確かに、以前は「緊張パターン」に代わる「リラックスパターン」を創らなければ症状が改善されないかのような伝え方をしていた。そうなると考え方や感じ方を変えないと症状が改善されないと受け止められてしまう。患者さんによっては、ご自分の気づきのより考え方や感じ方を変えることで症状も改善されるという事例もあるが、それは一部にしか過ぎない。

「意欲」や「喜び」など肯定的な感情も神経系の誤作動に影響を及ぼしている場合も多々あり、考え方や感じ方を変える必要などなく、心身バランスの誤作動を調整することで多くの症状が改善される。

「意欲」や「喜び」の感情の反応がでると、患者さんの中には、「頑張り過ぎですかね?」、とか「喜び過ぎですかね?」などと感情の程度が悪いのではないかと質問されることがある。意欲や喜びを抑えるという感情のコントロールが必要なのかもしれないが、それは不自然なことであり、表面的に建て前で繕うことができても、内面的な本音を繕うということはできない。

人が時には思いっきり喜んだり、思いっきり怒ったりすることはむしろ自然の姿だろう。小さな子供が思いっきり笑わなくなったり、怒ったりしないのは何か不自然を感じる。子供は本来、本音で感情を表に出すのが自然である。その感情が表に出ていないということは何か不自然さを感じてしまう。
大人になると本音と建前を倫理的にコントロールすることができるようになるが、内面は本音を小手先でコントロールすることは困難でありそれは不自然なことでもある。

大人の場合、感情を表に出すか出さないかは倫理的、社会的に求められることがあるので感情を出さないふりをすることも求められる。しかし、心の奥底で感じる感情までも抑えたり、コントロールすることは困難で、不自然といえるだろう。

心の奥底から湧き出てくるネガティブな感情を理性によってコントロールすることも必要になることもあるが、そのような精神論的、あるいは倫理道徳的な問題は、心身条件反射療法では関与しない。あくまでも、心身の関係性で生じた神経学的、ならびにエネルギー学的な誤作動の調整に関与する。

極端な例えになるが、骨が折れたら専門家に修復してもらうように、心身の誤作動が生じたらその専門家に調整してもらうことが必要になるということである。単にメンタル面が関係しているから、メンタル面を強化すればよくなるという問題ではない。

あくまでも心と身体の関係性に生じている誤作動の問題だということをご理解していただきたい。

我々が注目しているのは、神経学的、あるいは生体エネルギー的な誤作動であり、精神論的な考え方の良し悪し、あるいはメンタル面の強い弱いではない。

患者さんの中には、最初からメンタル面の改善を求めて来院される方もいらっしゃる。そのような患者さんに対しても、やはり、心身バランスの誤作動の調整にフォーカスして施術を継続していると、結果的にメンタル面の問題も改善される場合が多い。

あくまでも「メンタル面の良し悪しではない。」「精神が強い弱いという問題ではない。」ということ繰り返して強調しておきたい。

これは、身体だけの機能を診る調整ではなく、メンタルだけにフォーカスする心理療法でもない。これは、身体とメンタルの関係性による誤作動を調整する治療法である。現代医療の隙間を埋める医療といっても過言ではないだろう。

私達人間は、この心身の誤作動を知らない間に創り出してしまう。知らない間にその誤作動が自然に調整される場合もあれば、慢性的に誤作動が継続してしまう場合もある。その場合は専門家に施術してもらう必要がある。

慢性症状が長い間続くと、その誤作動は一つや二つではなく、複数が絡み合っていることが多い。その場合、消去法のように誤作動を少しずつ消すように施術を繰り返していく。すると、誤作動が段階的に消えていくと同時に、症状も段階的に改善されていく。

このような施術は、患者さんとの信頼関係が必要不可欠である。そのためは施術者自身がこの施術法をしっかりと理解していくことが大切だろう。分かったつもりにならないで、本当にこの理解でいいのかという謙虚さも持ち備えながら繰り返しテキストや講義内容を復習し、この施術法の本質を理解していただければと願う。

このような反復学習の繰り返しによってこの治療技術がご自分の血肉となり、患者さんとの信頼関係の密度も増してくるのだろう。

2012年10月8日月曜日

PCRTアドバンス1研究会報告(その1)

先週末、PCRTアドバンス1研究会を開催し、今回も熱心な先生方にお集まりいただいた。予想通り盛り沢山な内容になり、消化不良も否めないといった感じだった。来年度からは、消化不良にならないようにプログラムを見直していく予定。

教える側についつい「分かっているだろう」という思い込みがでてきて、大切なところを端折ってしまっているということに後で気づかされる。学ぶ側の理解度を知るためには、教える側から学ぶ側へ幅広く質問を投げかけることが大切で、もっと質問を多くしなければ、その隙間は埋まらないだろうということを改めて学ぶことができた。

これは、特に教える側に問題があると思う。理解しているかどうかの確認のための質問を鋭くしていないので、学ぶ側も「分かっているつもり」になってしまい本当に伝えたいことが伝わっていないということがある。

もしも、教える側の意図する内容が伝わっていなければ、説明の仕方を変えなければならないということである。研究会では、毎回のように新しい研究成果を発表させていただいているが、その研究は、まったく新しい施術法というよりも、前の研究成果の延長線上であることが多く、前の研究内容を深く理解していなければ、その新しい研究内容も理解しがたいということになる。

人間の身体は未知な部分がたくさんある。ある脳神経学者がいうには脳神経科学の研究で分かっていることは1割にも満たないという。それは科学的に理論づけられない神経学的な反応、あるいは生命エネルギー的反応が、脳・神経系の世界にはまだまだたくさん隠されているということでもある。

世間一般では、科学的な証明、科学的な根拠があるから信頼できるという判断があるようだが、一割にしか満たない科学的理論ばかりを根拠にするということは、既成概念にとらわれてそれ以上の概念が生まれにくいということにはならないだろうか?

もちろん、すでに科学的に証明されている理論は大切であり、その理論を活用することで新たな発見もある。しかし、まだまだ知られていない脳・神経系の理論がたくさんあるという前提で研究を進めていかないと、効果的な成果は望めないだろう。

今回紹介させていただいた、「持続振動調整法」によって新たな治療概念が生まれたのではないかと考えている。筋肉系の検査で機能的に働いているかどうかの検査は広く知られているが、機能的に筋肉系が弛緩、すなわち正常に緩んでいるかどうかの検査は知られていない。この検査、治療法は、臨床上とても重要であり、今まで臨床的に活用されていない部分でもある。


恐らくこの手法は幅広く臨床で応用されることが予測される。この手法で多くの患者さんに喜びを与えていただければと願う。

その2につづく・・・・

2012年10月4日木曜日

自由というルールの鳥かごにいる自分

「自由という鳥かごの中に自分がいるような気がする」

これはある患者さんが気づかれたコメントでした。

誰にも束縛されることなく自由に生活ができているその一方で、自分でレールを敷いて、どの方向へレールを向けるか、ルールを決めて生きていかなくてはならないという責任。そこには義務が伴い、自由であるはずの自分が自由でないような感じになってくるという矛盾に気づかれたとのこと。

また、自分で敷いていくレールも本来はいくつかの選択ができるレールがあってもよいはずであるが、一本のレールしかないような錯覚をしていたとのこと。その背後には「変化」することに対して過敏になっている自分に気づいたとのことだった。

この患者さんは、症状に関連する「緊張パターン」を通じて自分の生き方や人生についての気づきを得ている様子。どのような生き方がいい悪いという議論もあるだろうが、まずは、自分に合った生き方を見つめなおし、現実の社会にうまく適応し、調和できるように変化していく段階なのかもしれない。

急ぐことはない、自分に合ったペースでゆっくりと適応すればよい。

人は自由を求めるが、いざ自由を与えられたとき、何をすればいいのか、どの方向に行けばいいのか分からなくなる傾向もある。自由という「考え方」に縛られるということもあるだろうし、何が自由なのかが分からなくなるということもあるだろう。

人は多かれ少なかれ、何かの組織に属していると言えるのではないだろうか?例えば、夫婦、家族、サークル、グループ、学校、会社、団体、都道府県、国、地域、地球という具合に、何らかの組織に属している。

ただ、その組織には、ルールが存在するから自由が奪われているように感じる。例え無人島で一人で自由に生きていくにしても、自分で作ったルールに従って生きなければ、自然環境に適応できなくなるだろう。そこには自然という厳しいルールがあるからである。

人は人と関係し合いながら生きている、そして、その関係性にはルールが伴う。自分が作ったルール、他人が作ったルール、組織が作ったルール、あるいは表にはでない暗黙のルールというものもある。そのように考えると自由というものはルールがなければ存在しないということがいえるだろう。

逆にいえば、ルールがないところには自由というものは存在しないということにならないだろうか?自由という何らかの欲望を実現するためには最低限のルールが必要なのだろう。ルールがあって初めて、自由という欲望が現実に満たされる。

本当に自由を感じられる人は、大なり小なりの組織の関係性の中で自分と他人、あるいは組織のルールを明確に認識しながら、互いのルールを尊重し、互いのルールをすり合わせながらうまく適合させていくことで、自由という欲望を生み出しながら生きていく人なのかもしれない。



戦争のない平和な社会では、人との関係や組織との関係を持つか持たないかの選択の自由は平等に与えられている。一人であろうが他人や組織との関係性の中で生きようが、ルールというものは存在する。そして、そのルールを尊重し合わなければ、本当の自由はありえないということなのだろう。

2012年9月21日金曜日

治癒力のスイッチと誤作動(エネルギーブロック)

人間は本来自然治癒力を持ち備えています。病気や様々な慢性的な症状を抱えてしまうとついついそのことを忘れてしまいがちになります。

慢性的な症状がなぜ続くのか?それは、簡単に言えば、本来機能すべき「治癒力のスイッチ」が入っていないのです。「治癒力のスイッチ」を止めているものは何でしょうか?それは、身体のすべての働きをコントロールしている脳・神経系の誤作動です。

この誤作動は目に見えて分かるような機械的な誤作動ではなく、エネルギー的な誤作動です。電気信号の伝達異常や電波の周波数がうまく合わずに、ラジオの音声に雑音が入っているようなものです。

ニューロパターンセラピーでは、このようなエネルギー的な誤作動(エネルギーブロック)を検査して調整します。調整の目的は、生体内外の電気信号がうまく伝わるようにチャンネルを合わせるようなものです。

症状の程度や慢性症状を抱えている期間の長さなどで、身体に学習記憶されている誤作動の数は様々です。誤作動の数が多ければ多いほど施術回数が必要になります。

施術を繰り返し継続することで、消去法のようにこの誤作動反応が消えてゆき、少しずつ「治癒力のスイッチ」が入るようになってきます。

そして、この「治癒力のスイッチ」を持続的に入れていくためにも、身体のメンテナンスが大切になります。自動車や飛行機のメンテナンスを怠ると故障しやすいのと同じ理屈です。

また、人間は本来、自然治癒力と共に学習記憶という機能も持ち備えております。一度、治癒力が引き出せなくなる学習記憶をしてしまうと、その身体に染みついたクセを変えるためにはそれを修正する時間が必要です。

枯れた盆栽を生き返らせるには一日ではできません。盆栽に必要な栄養分と適度に鋏を入れながら手入れが必要です。盆栽を枯らさないコツは繰り返し鋏を入れて手入れをすることだといわれています。鋏を入れることで適度な刺激を受けて、生命力を保っているのでしょう。

人間も同じで、慢性的な病気や症状から回復させるためには、時間を掛けながら適度な刺激が必要です。施術を通して、適切な刺激を繰り返し受けながら治癒力のスイッチを全開させて健康を保ちましょう。

2012年9月10日月曜日

2012年度PCRTアドバンス1のご案内

心身条件反射療法(ニューロパターンセラピー)代表の保井です。

今度の9月30日と10月1日に開催されるアドバンス1でご紹介するトピックは以下を予定しております。

 言語神経反射検査
 五感パターン
 感情チャート
 パターン振動
 呼吸法に関して
 セルフイメージの検査、施術法
 交通事故によるトラウマ
 スポーツ障害
 心因性視力障害
 脊柱関連症状(腰痛、肩こり、頸部痛、背部痛など)
 顎関節症
 頭痛

上記の項目をご紹介する前に、最近開発したハード面の新たな施術法もご紹介させていただく予定です。ブレインマップ、持続圧振動法に続く新たな手法です。

いつものことですが、新たに施術法を開発した後、そのネーミングを何にしようかと考えます。今回のネーミングは、「持続振動検査治療法」とします。そして、前回ご紹介した「持続圧振動法」を「持続圧検査治療法」に変更したいと思います。

今回ご紹介するその「持続振動検査治療法」は、シナプス前促通の概念に対して、シナプス前抑制の概念が関与しているのではないかと考えています。臨床的に分かりやすくいうと、筋肉系を緊張させる興奮性シナプスの誤作動に対して、抑制性シナプスの誤作動を検査して施術する治療法であるといえます。

つまり、筋肉を働かせる神経系の誤作動に対して、筋肉系を緩める神経の誤作動の施術法になります。この施術法の理論的背景は仮説ではありますが、臨床的に患者さんには分かりやすく説明できるようです。

「本来、リラックスさせる(緩めるための)神経の働きが悪いのですよ・・・」という具合に説明すると患者さんも納得されます。恐らく施術者にとっても新しい神経生理学的概念での施術法になるのではないでしょうか?

今までご紹介したハード面の施術法と同様に即効性がありますので、筋骨格系の症状がある患者さんにはとても効果があります。

新たな施術法を発見するたびに、早くご紹介したくてワクワクしています。でも、それをシンプルに分かりやすく説明するにはいつも一苦労します。

そのハード面の施術法以外にもPCRTの特徴でもある五感パターン、感情チャート、言語神経反射検査のご紹介、さらには症例別のアプローチの仕方をご紹介させていただきます。

いつも盛りだくさんになる傾向があるので消化不良にならないように工夫したいと思います。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

2012年9月4日火曜日

先生、今日は「念」が入っていますね・・・

「先生、今日は念が入っていますね。」
施術が終わるころに、一人の患者さんがさりげなく話された。

以前、その患者さんとの遠隔施術の時に、「念」についての話題がでてきて、互いに共感し合っていたので、その患者さんが何を意味しているのかピンときた。

・・・ということは以前の施術は念が入っていなかった???
他の患者さんも「念入りに治療をしてもらわないと・・・」なんて、冗談半分にいわれることがあるが、いつもどの患者さんにも基本的な治療院のルール(時間など)の中で念入りに治療をしているつもりだが・・・・

その後、自分自身の心の動向を冷静に客観視してみると確かに念が入っている時と入ってないことがあることに気づかせていただいた。今回、「念が入っていますね。」といわれたのには理由がある。

それは、いつものパターンではあるが、新しい施術法を発見して、それをできるだけ多くの患者さんに試して、その効果を再確認したかったのと、その施術法で患者さんに喜んでいただきたかったという理由があった。

振り返るといくつもの施術法を生み出すたびに、そのたびにワクワクして施術に念が入っていただろう。そして、その施術法の効果が当たり前になってくると、効果が出るのが当たり前だから念も入らなくなる・・・

自分にはそのようなパターン(心の習慣)があることは以前から分かってはいたが、それが直接的に患者さんに影響を与えていたのだということを、今回は真摯に気づかせていただいたような気がする。

「念」とは目には見えないものであるが、それを込めるかどうかでは様々な成果が異なるだろう。治療院の経営も、患者さんの満足度を高めるために治療技術の向上やコミュニケーションスキルの向上が重要であるが、そこに情熱がプラスアルファーされなければ患者さんへの真の満足度へとつながらないだろう。

情熱とは、私流にいえば真心であり、今回気づかせていただいた「念」を込めるということもその情熱に含まれるのだということが自分なりに理解できた。今後は、治療院の公平なルールの中で、いかにして一人一人の患者さんへ「念」を込めることが出来るかを工夫していきたい。

また、たとえ目の前に患者さんがいなくても、離れている患者さんの健康を願って念を込めることも大切だと思う。不思議な話ではあるが、その後でその患者さんから予約の電話が実際に入ってくることもあったりする。

やはり、目に見える人に念を込めることも大切だが、目には見えないところで念を込めることの方がもっと大切なような気がする。

「念ずれば花開く」
これは詩人、坂村真民さんの詩の一句である。よく引用される名句ですが、この句に隠されている意味はとても奥深いように思う。

「念」というのは貯金のようなもので、一度や二度願いを込めたからといってその願いが成就するわけではないだろうし、そこに自分の欲得のための邪念ではその念も真逆に振り返ってくるだろう。

純粋な「念」の貯金は増えたり減ったりして一向に貯まっていない気もするが、純粋な心で、邪念を無くし、ご縁のある人から組織や社会のための成長や健康、安全を念じ続けられる自分になりたい。

(坂村真民さんの自筆の画像はサイトから引用させていただきました。ありがとうございます。)

2012年9月1日土曜日

6~7年以上抱えていた膝関節の問題

30代の男性が、交通事故による腰痛を訴えて来院。腰痛の方は数回の治療で完治したが、6年ほど前より膝の症状があるという。いつもスポーツをしているタイプの男性で、毎日走っているとのこと。走ったりすることで膝に症状がでたりはしないが、深くしゃがみ込むと常に左膝に違和感があるという。

本人によるとこれは構造上の問題で手術をしなければ治らないとあきらめていたとのこと。膝の検査を細かくしていくと、筋肉系のアンバランスな反応が多く示された。その異常反応への治療を継続していくうちに、6~7年抱えていた膝の違和感がほとんど解消された。構造異常の問題だと諦めていたのでとても喜ばれていた。

一般的には関節に痛みなどの症状があると、関節の構造上の問題に目を向けて、レントゲンやMRIなどの検査で構造異常が分かれば、その構造異常=痛みの原因と結びつけて外科的な手術を行ったりする。しかし、慢性的に生じた関節痛の多くの原因は、筋肉系のバランス異常であると私達の仲間の自然療法家は考えている。

骨や軟骨の変形は、筋肉系のバランス異常が慢性化した結果であり、関節は本来動かすために存在するので、その関節の機能に異常をきたすと、関節を構成する骨と骨同士がつながろうとして、鍾乳石のように骨にとげがでて変形がでてくるのだと考えられる。

関節の変形が直接的に痛みの原因になることもあるかもしれないが、バランス異常が原因で生じた骨や軟骨の変形が直接的に症状の原因になることはかなり少ないのではないかと考えられる。構造異常が症状の原因だと決めつけることは簡単であるが、それは本質的な原因ではないことは、臨床家による多くの改善例や最新の科学的文献からも指摘されている。

まずは関節をコントロールしている筋肉系や神経系のバランス調整を試みて、それでも症状が改善されなければ関節構造を修正するという選択肢も考慮してはどうだろうかと思う。

2012年8月31日金曜日

食事制限による成長不良

先月、1歳半の男の子が来院。最初はお母様よりお子様のアレルギーのことで相談を受ける。生後数か月後から湿疹の症状があらわれ、最初の病院ではステロイド治療などを受けて一時症状が改善される。その後、症状が悪化して他の病院で治療を受ける。そこでは主に除去療法が中心で6か月ほど入院されたとのこと。

生後、10か月より体重が増えていないとのことで、このまま体重が増えなければどうなるのだろうと深刻に悩まれていた様子。食事制限をかなり厳しく行われているとのことで、食べているものが随分と限られている印象を受けた。

乳幼児の場合、お母さんの健康状態も影響を及ぼすので、一緒に施術を受けて頂いた。食事を中心にしたアレルゲンとそれに絡んだ感情面を特定しながら、食事全体が身体のバランスに影響を及ぼさないように施術を行った。

施術を開始して、徐々に改善傾向へと向かい、今まで制限していた食品が食べられるようになり、体重も1キロほど増えて、お母さんも安心された様子。まだ卵やその他の食品にアレルギー反応は示されるが、施術前に比べると、メンタル的にも安定感が出た様子。

様々な医療情報が錯綜する中で、何を信じていいのか分からなくなってしまったのだろう。西洋医学では科学情報が基本になり、科学というモノを基本にするあまり、様々な情報が錯綜してしまう。
科学的情報は大切な情報ではあるが、それが医療のすべてではなくほんの一部分にすぎないという認識が大切だろう。科学的医療が全てであるかのごとく盲信してしまうのは危険である。

科学はとても進歩しているのは事実であるかも知れないが、かといって生命体の病気、健康のことが全て解明されているわけではない。人間の生命体にはまだまだ解明されていないことがたくさんある。

自分の健康を自分で守るためには、医療技術を信じるよりも、まずは自分の身体の治癒力を信じることが大切である。その上で、自分の体調に応じて自分にベストな医療を選択することが必要だろう。

人間は本来、時間の経過とともに治るという力、すなわち自然治癒力というものを持ち備えているということを忘れないでほしい。我々自然療法家は、その治癒力の扉を開き、本来の生命力を発揮させるお手伝いをさせていただいている。

健康を損なったとき、この自然治癒力を発揮させる有機生命論的医療を選ぶのか、機械構造論的医療を選ぶのか、その時々の症状によるだろう。どちらがいいとか悪いとかの問題ではなく、もちろんどちらが優れているか否かの問題でもない。

けがをした時に機械構造論的医療はとても効果を発揮してくれる。しかしながら、原因が分からず知らず知らずに自然に病気になった場合などは、有機生命論的医療を選択して自然治癒を引き出して治していくのが賢明かもしれない。

今回の症例では、身体に合わないものを除去して、症状を押さえてしまう機械構造論的医療では結果的には改善にはつながらなかった。有機生命論的に合わないものを身体に調和させて自然治癒力を引き出すことで症状が改善された。

このような自然治癒力の効果をもっと多くの人に知っていただき、気軽に利用していただける環境を目指して、医療に貢献できればと願う。

2012年8月11日土曜日

012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその3

カンファレンス3日目の朝、ライフカイロプラクティックウエストの学長によって将来のカイロプラクティックが関わるヘルスケアの再構築に関するプレゼンテーションがあった。その後、カイロプラクティック業界では著名な研究者であるDr. John Trianoによってメカノトランスダクション【mechanotransduction】についてのプレゼンが行われた。メカノトランスダクションとは機械的刺激(情報)を生化学的シグナルに変換すること。
私は数年前より筋膜や硬膜などの軟部組織への神経学的な誤作動を発現させるために、ストレッチや持続圧などの手法と合わせて、圧迫、伸展、振動など局所的な力学的な刺激を加えて検査、ならびに施術に応用して臨床的な研究を積み重ねてきた。この臨床研究とトランスダクションの科学的研究はとても関連性が深いと直感的に感じた。

臨床家達は臨床現場では施術の効果の有効性を毎日のように感じながらも科学的な根拠が乏しい。近年注目されているこのトランスダクションというメカニズムの解明は、我々の施術効果を細胞や分子レベルにおいて科学的な根拠に基づいて裏付けしてくれる可能性が大いに高い。将来、このトランスダクションの研究が広く発展し、我々の施術効果が科学的な根拠にも符号しているということが広く知れ渡ることを期待したい。

その他、Dr. Louis Sportelliという50年以上もカイロプラクティック業界に携わっているドクターのプレゼンもあった。米国のカイロ業界の会長や世界カイロプラクティック連合の会長などを歴任し、現在では多くのカイロプラクターが加入する保険会社の会長を務めている大御所である。余談ではあるが、他のプレゼンターの講義がある際、カイロプラクティックを謙虚に学んでいる姿勢に感心させられた。

アクティベータ・メソッドの本の編集にも携わっているDr. Regecca Fishcherによって、Track 3 アドバンスの最新の教材がプレゼンされた。その後、実技のテーブルに分かれて、最新のアイソレーションテストの疑問点や問題点を出し合ってノートに書き込み、そのノートを回収して再編集に使う予定。教科書になるまでには様々なプロセスを経て、修正を繰り返しながら、臨床の現場で患者に喜んでいただけているのだと再確認することができた。

その他いくつかのプレゼンテーションの後、インタビュービデオがスクリーンで紹介された。それは、アクティベータ器によって奇跡的に昏睡状態から回復されたという体験談をもつ女性へのインタビューだった。その女性の顔がなんとなく私の隣に座っているドクターによく似ていると思いながら尋ねてみると、驚いたことにその本人だった。今回はそのような特別な意味があって招待されたらしい。そのドクターは、カイロプラクターになる数年前、今から18年ほど前に事故で9か月間昏睡状態になってしまい、病院で入院生活を送っていたとのこと。病状に変化がなく母親は藁をもつかむ思いで、以前通院していたカイロプラクターに何とかできないかと治療を依頼したらしい。

その時は、治療を依頼されたドクターも回復できるのかどうか半信半疑だったがアクティベータ器を使って環椎を施術したところ、それから奇跡的に意識が回復したという。アクティベータ器によって命を救ってもらったので、アクティベータ器を使うドクターになりたいという思いを胸にカイロ大学へ入学し、現在では命を救ってくれたそのドクターのクリニックでパートナードクターとして勤務しているとのこと。

我々は、昏睡状態の患者に施術を依頼されることはないので、昏睡患者を治療することはほとんどない。しかし、恐らく効果があるのだと思う。我々の治療の対象外だという思い込みがあるだけかもしれない。別のカイロプラクティックテクニックでも施術によってこん睡状態の患者が覚醒したという話を聞くが、恐らく共通しているのは脳・神経系への振動による刺激だろう。やはり、自然治癒力、すなわち、生命エネルギーの力は「振動」と深く関わりを持っていると思う。今後もアクティベータ・メソッドの潜在的な可能性に大いに期待したいし、私の臨床研究のコンセプトである「振動」というテーマをさらに深めていきたい。

この米国のカンファレンスと同時期に、東京では通常のAMセミナーが開催されていた。そこで渡米前にAMJのインストラクターたちと話し合い、スカイプを使って米国のカンファレンス会場から東京の会場へ最新情報を伝えることを計画していた。カンファレンスでドクターファーにスカイプでの交流を依頼したところ、快く引き受けてくださり、実現することが出来た。途中、音声がうまく伝わらないこともあったが、ドクターファーが、リアルタイムで会場のスクリーンに登場したことは受講者にとってサプライズであり、とても喜んでいただけたようである。日本国内で私が不参加のセミナーは初めてだったが、菊地マネージャーのリーダーシップによって、他のインストラクターの先生方が一致協力して、充実したセミナーが開催されたとのことだった。

カンファレンス最終日の夜には、ディナーパーティーが開催された。パーティーでは45周年の記念式典が開かれ、グローバルに発展するドクターファーの功績とその歴史に関わるドクターたちが称えられた。また、現在、米国内で活躍しているディレクターやカイロ大学のインストラクター、並びに世界各国で活躍しているインストラクターが表彰された。私も日本を代表して「International Director of the Year」と「International Development Ward」という二つの賞をいただいた。一つは国際的に最も活躍したディレクターという表彰で、もう一つは国際的な発展に貢献したということで、イギリスのインストラクター達と共に表彰を受けた。

この表彰の陰には日本のインストラクターをはじめ、事務局のスタッフ、並びにそのメンバーを支えてくれている家族の力は大きい。また、毎回熱心にセミナーを受講して下さる先生方やアクティベータ・メソッドを利用してくださる患者さんたちのネットワークのお蔭だと思う。来年度はドクターファーの来日セミナーが計画される予定。今後もさらにAMI社との信頼関係を保ちながら、アクティベータ・メソッドの啓蒙に貢献することができればと願う。

2012年8月10日金曜日

2012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその2

二日目からはすべてのインストラクターが集まって、オープニングセレモニーが荘厳な儀式で開催された。そして、ドクターファーによるイントロダクションの後、パーカー大学学長のドクター・マンシーニが次のプレゼンターとして紹介された。彼は34歳の最年少でユニバーシティーの学長に就任したことで話題となり、現在、テレビやユーチューブなどのメディアを通じてカイロプラクティックをアピールしている。テレビに出演した際の裏話や今後どのようにしてカイロプラクティックの業界を発展させるか将来の抱負を述べていた。
パーカー大学はカイロプラクターの経営面に力を入れているカイロ大学でもあり、ドクター・マンシーニは、開業を成功するための秘訣などもプレゼンされた。日本のAMセミナーでも紹介していることではあるが、以下のことを強調していたのは印象に残った。

 一人一人の患者に対して、最も重要な人であるかのように接する。(その人の存在を認める)

 患者が何を求めているのかをしっかりと把握する。

そして、成功するためには何を得たいかよりも、どのようになりたいのか?どのような行動をしたいのか?を考えることが先決で、理想の人をモデリングすることが近道であることを強調していた。まずは、理想とする人の行動をまねることから始める。その人が得ているものではなく、その人の行動をまねる。さらにはその人の習慣をまねることが重要で、成功するためにはそれなりのプロセスがあり、そのプロセスをまねることが成功の秘訣であるということを述べていた。

生き残ることに情熱を持つのではなく、人に仕えることに情熱を持つことが大切で、人に仕えることで自分が守られるということを強調していた。さらに、現代社会ではネットを開けば様々な情報を得ることができるが、そのような情報を得ることに情熱を費やすことよりも、直接人や聴衆に会うことが大切であると述べていたのが印象的だった。

Dr. Gregory Kawchukは、脊柱のスティフネス(凝り)とその効果や振動診断学の研究をされている研究者。ヘルニアなどがある際、生体の振動数などがパターン的に変化するなどの研究をしている。信頼度の高い研究をするためには、生きている生体を同じ条件にすることが求められる。同じ条件を再現するために、生きている動物の背骨にピンを刺して、矯正の瞬間に生体内の組織ではどのような変化が生じているのかをロボット工学の技術を使って分析したデータが発表された。ヘルニアや変性などの障害のある椎間板には特徴的な波長のパターンがあり、そのデータはとても興味深かった。

インソールの研究と販売を行っているフットレベラーの会長のプレゼンでは、今年からアクティベータ・メソッドと共同で販売を促進するとのことで、足のスキャナーや研究データなどがプレゼンされた。やはり、科学的な研究によるデータには説得力があると改めて感じさせられた。

次は、著作権専門の弁護士によるトレードマークの活かし方の説明や、メディケアという米国の65歳以上の人や身体障害者などを対象とする医療健康保険制度に関する最新情報。日本で開業している私には直接的にはあまり関係ない情報ではあるが、共通する問題はたくさんあるように感じた。

そして、いよいよ今回の目玉となるアクティベータⅤがドクターファーによって紹介された。今までの手動による器具から電動に進化したため、形状も大幅に変化した。このアクティベータⅤが開発されるまでには6年の歳月が費やされたといい、開発途中には数多くの失敗があったというエピソードなども紹介していただいた。

今回公表されたアクティベータⅤには大きく3つの特徴がある。

 最初の特徴はコードレスである。現在市場にでているカイロプラクティックの矯正電動器具のほとんどはコードがついている。そのため施術者の動きに支障が生じる。アクティベータⅤは充電式を取り入れているため、コードレスで従来の器具と同じような動きで施術ができる。

 次の特徴は、振動器具先端とグリップとの角度である。他の電動器具の多くは電動ドリルのように先端とグリップとの角度は90度に近い角度であるが、アクティベータⅤの角度は、関節面にコンタクトしやすい工夫と、手首への負担を軽減させるための角度が配慮されているとのことである。

 最後にアクティベータ振動器具の研究課題の中で重要なポイントとされるのは、機械的受容器に影響を及ぼす振動周波数である。人間工学の研究者との開発で機械的受容器への振動周波数の重要性が明らかになって以来、理想的な振動周波数の研究開発が進化し、今回公開されたアクティベータⅤではその理想的な数値がさらに高くなったとのことである。

このアクティベータⅤが繰り出す振動は、従来のハンマーで振動させるバネ式のパーカッションフォースとは異なっており、ソレノイドという仕組みから繰り出される周波数が特徴らしい。ソレノイドとは電気的エネルギーを直線運動の機械的エネルギーに転換する コンバーター。コイルで鉄の芯を動かすような仕組みとのこと。つまり、電気信号で機械的な作用を行なわせるような用途に使うもの。

ポジティブな側面の一方でネガティブな側面もあるだろう。器具である以上は故障がつきものである。どのように故障が生じるのか今のところ見当もつかないが、ある程度の想定はしておきたい。振動を繰り出すのはボタンを押すだけの操作なので力はいらないが、器具全体は以前の手動器具よりも重くて大きい。

あえて言えば、一つ一つの矯正後にアクティベータⅤを置く場所に少し気を使う。慣れていないせいもあるが、以前のようにホルダーに入るような大きさではない。臨床で使ううちに色々な問題や改良点が多々あるのではないかと予測されるが、少しずつ患者さんに使って、実際の効果を確認していきたい。

ドクターファーによるアクティベータⅤの開発の経緯が紹介された後、その開発研究に携わったMichael Liebschner,Ph.D.によるプレゼンが行われた。彼は脊椎バイオメカニックスやバイオメディカル工学の専門家でもあり、現在は医学部で脊柱・骨バイオメカニックスやバイオ・メディカル・エンジニアリングを研究しているとのこと。アクティベータⅤの効果を科学的に裏付けるデータなどを紹介していただいた。

その後、アクティベータ・メソッドを基本にしたクリニックで週に400人以上の患者を診ているドクターによるプレゼンテーションが行われた。クリニックはオープンスペースで施術テーブルが3台あり、ドクターが施術をする際には患者がすでにうつ伏せですぐに開始できる状態。一人の患者にかける時間は2~3分で、患者に必要なことを問診して、必要なところに矯正を行い施術を終える。患者とのアイコンタクトもほとんどないらしい。

施術では特に無駄な動きがないように工夫されているようで、そのポイントもいくつか紹介してくれた。当たり前のことではあるが、治療をするかしないかの選択をするのはすべて患者で、それを終えるかどうかを決めるのも患者の選択であるというコメントは印象的だった。また、患者に真摯に仕えれば、患者は真摯に答えてくれるというコメントにも深く共感することができた。

その後、アクティベータⅤを使った実技をインストラクター同士で行った。インストラクターがそれぞれにアクティベータⅤを使った感想を述べ、その可能性について期待を寄せていた。(その3に続く)



2012年8月9日木曜日

2012年度、45周年AMI instructorカンファレンス レポートその1

AMI instructorカンファレンスのレポートを書くのは久々になる。1997年に30周年記念のAMIインストラクターカンファレンスに招待していただいて以来、毎回招待していただいていている。2007年度の40周年記念のカンファレンス開催後は毎年のカンファレンスは中断され、今回は5年ぶりにカンファレンスが再開された。2012年度の今年は45周年記念のカンファレンスとなった。5年ごとの記念式典に毎回出席させていただくことが出来、アクティベータ・メソッド発展の歴史に触れる機会を与えていただけることをとても光栄に感じている。

水曜日の午前中の診療を終え、夕刻に福岡空港からハワイ経由でAMIインストラクターカンファレンスが開催されるアメリカのフェニックスへと飛び立つ。途中、ハワイ空港でフェニックス行の飛行機が8時間も遅れるというハプニング。会場のホテルにカンファレンス前日の夜中に到着するはずが、カンファレンス当日朝に到着するということになってしまった。

しかしながら、ハワイアン航空会社の配慮で、ワイキキビーチ近くにあるマリアットというホテルでディナーを提供してくださることになり、3時間ほどワイキキビーチに滞在することができた。思わぬハプニングではあったが、ハワイでプチバケーションを楽しむことができた。そのレストランは、初めて日本の先生方とアクティベータのハワイセミナーへ参加した時のホテルのレストランだったのでとても懐かしく感じた。

一日目、カンファレンス開催の約1時間前に到着して、ホテルで朝食をとりカンファレンスに参加。前回の40周年以来、5年ぶりに米国のインストラクター達との再会を歓び合った。1997年から遠距離ではあるが15年来のお付き合いである。私はすでに古株に属しており、カンファレンスでの再会はそのたびに国境を越えた不思議なつながりを感じさせてくれる。

全米のインストラクターと世界各国のインストラクターが100名以上参加とのこと。今回予定されているプレゼンターも一流の講師陣。初日の講義は、各地域のディレクターやカイロプラクティック大学の講師たちを対象に、コーチングやコンサルタントを行っている人間行動科学の専門家によって行われた。

カンファレンスの数か月前にはインストラクター全員にネットを通じて行動と動機付けに関するアンケートが行われており、会場では47ページに亘ってまとめられていたレポートがアンケートを受けたインストラクター一人一人に配布された。このレポートは行動科学に基づいており、自分自身の強さと弱さを客観的に理解することでより効果的な行動や人間関係に役立てるというもの。

次はリーダーシップの研究に関する専門家によるプレゼン。参加者のほとんどがリーダーであり、リーダーシップに関する幅広い研究はとても重要である。私は、数年前より治療技術の研究と合わせて、コーチングやリーダーシップ論の勉強も行ってきているが、単に治療技術だけに限らず、人との関係性や治療院や組織をいかにして有機的に発展させるかは私たちの重要課題であり、すべてはリーダーに組織を守り発展させる責任がある。

今後、大きな組織のリーダーに限らず、治療院の院長もリーダーシップ論やコーチングの勉強はとても重要になるだろう。治療技術の習得だけにとどまって、人との関係性や治療院や組織がうまくいかなければ、その治療技術は宝の持ち腐れということになる。今後も、リーダーシップ論やコーチングは治療技術の研究と同様に両輪のごとく学んで社会地域の人々に幅広く貢献することができればと再認識することができた。( レポートその2に続く)

2012年7月17日火曜日

「ペンが持てない」その原因は、神経学的な「誤作動」だった!

先日、右手でペンを持つことができないとのことで20代の青年が来院されました。お父様からお電話で依頼され、最初は一般的に多い「書痙」なのだろうと予測していました。しかし、来院されて問診しながら検査をしていると、通常の書痙のタイプとは異なる特殊な症状であることが分かりました。
大学病院でもすでに検査を行っており、整形外科では画像診断を受け、神経内科も受診されたとのこと。通常の指の筋力検査では正常に機能しますが、いざペンを持とうとすると握るための指や手首の筋力が弱く力がほとんど入りません。ペンで書こうとするとペンが滑り落ちる恐怖もあるとのことで右手ではほとんど書けない状態。

このような症状が3年前から継続しており、それ以来左手で書いているとのこと。しかし、最近では左手で書くのにも支障がでてきており、だんだんと悪くなってきているということで、このまま経過するとますます悪化するのではないかという深刻さが伝わってきました。

当院で治療を始めてから5回目には明らかな改善が現れ、8回目9回目の施術日には異常反応は検出されずご本人も自信が持てている様子が伺えました。受験も控えており、とても大切な時期に差し掛かっていたので3年ぶりにまともに書くことができ本当によかったと思います。

なぜ、このような症状が改善されたのでしょうか?それはまず最初に、患者さんとの信頼関係を築けたことです。次に治療法が合っていたからです。ファミリーカイロで施しているニューロパターンセラピーは、肉体の構造や機能を改善させる療法ではなく、精神療法でもありません。心と身体の関係性による誤作動を調整する治療法です。まだまだ世間では知られていませんが、第三の医療といっても過言ではないかもしれません。

心身医療は以前から医療の分野で研究され続けていますが、このニューロパターンセラピーでは、身体に影響を及ぼしているメンタル面を変えることを治療目的とするのではなく、心と身体の関係性によって生じる神経学的な誤作動を調整することを主な治療目的としています。その誤作動を調整することで、結果として肉体面の症状やメンタル面の症状が改善されるといった効果が現れます。

長年の研究によって施術がシンプル化され、患者様も受けやすくより効果を感じていただけるようになりました。様々な健康問題を抱えているお知り合いの方がおられましたらまずはご相談ください。

2012年7月16日月曜日

自然体で「感謝」できるために

・・・いつも「感謝」しないといけないですね。・・・
とある患者さんが話されていました。

私たちは「感謝」することは大切だと思いつつも、感謝することを忘れてしまいがちになります。表面的に感謝するのは簡単ですが、心の奥から本当に「感謝」するのは簡単ではないかもしれません。では、自然体で心の奥から感謝できる背景には何があるのでしょうか?

人が感謝するとき、「有難い」と言います。その意味は、字のごとく有ることが難しいという意味で、めったにないことに感謝するさまをいいます。人間という生き物は、寄り添ってくれる人やモノ、食べ物などが習慣的に当たり前になって、それに慣れてしまうと感謝できなくなるという性質を持っているようです。

例えば、炎天下の砂漠の中でのどが渇く状態が長く続いたとき、恐らくその時の一杯の水ほど感謝できるものはないでしょう。しかし、現代社会では蛇口をひねればいつも水があります。水がそばにあるのが当たり前になって、それに感謝するということにはピンとこないのではないでしょうか?

人間関係においても、いつも傍にいてくれる人が存在すること自体やその人がしてくれることが当たり前になると、相手への期待が知らず知らずに増えて感謝ではなく不満を感じたりすることが多くなるようです。つまり、心の奥から本当に「感謝」するためには、当たり前のようにあるモノや人の行為を当たり前だと思わない工夫が必要になってきます。

人間という生き物は「慣れ」という習性をもっております。それは様々な環境に適応するために必要な機能ですが、慣れ過ぎて感謝できなくなるというデメリットもあるようです。人が感謝しなくなると、慢心、傲慢、不満といった負のサイクルにはまってしまいがちになります。毎日を「感謝」するための工夫として、当たり前にあることを当たり前と思わないで、それに慣れない工夫を日常生活の中から実践することでしょう。

さて、今日はどれくらい自然体で感謝ができているでしょうか?