2013年11月30日土曜日

アレルギー性鼻炎の改善 (感情を絡めた治療)

小学3年生の女の子がお母様に連れられて来院。お母様によると昨年の秋ごろから鼻炎がひどくなり耳鼻科を受診して投薬も受けたが悪化してきているとのこと。そして、最近では夜に鼻が詰まって息苦しくなり眠りにつくのに時間がかかっていること。また、前よりは改善しているが、アトピー性皮膚炎の症状も、生まれてからずっと足の方にあるらしい。

初回の鼻炎の検査では、「寒さ」という体感覚に、「恐れ」、「避けたい」、「喜び」などの感情が絡んでいた。恐れの感情は、夜の暗いところや物音などに関係していた。喜びの感情は学校での楽しい時のことだった。足のかゆみは「乾燥」や「季節の変わり目」の変化に過敏になっていた。

19日後、2回目の来院時のお母様の話によると、治療したその日から夜の鼻づまりが改善されすぐに眠れるようになったとのことで喜びのご報告をいただいた。再度検査をしてみると「喜び」という前回と同じキーワードに陽性反応が示された。今回は2回目なので具体的な質問をしてみた。喜びはお友達と鬼ごっこをしているときに、追いかけて捕まえた時の喜びで施術を行った。

「恐れ」の感情も前回と同じように夜に関しての恐れだった。質問してみると怖い夢の話がでてきた。その夢の内容を聞いてみると、お父さんが誰かに連れて行かれて、お店で扇風機を買わされている・・・???と、そこでお母さんに起こされて夢が終わったとのこと。恐らく潜在意識はその先を空想して恐れている可能性があるので、その先を質問すると、最終的にお父さんがどこか知らないところに連れて行かれて帰って来なくなるという空想が、もっとも恐れていることのようだった。その恐れの空想で施術を行った。

子供の鼻炎では夜が怖いという潜在感情が絡んでいることが多いように感じる。泣くときには涙と共に鼻水も一緒にでてくるが、恐らく潜在意識のレベルでは夜が怖くて泣くときのスイッチが入り、鼻水がでるような誤作動を起こしているのだろう。また、喜んで感動すると涙もでるが鼻水もでる。喜びのときの「嬉し涙」というのがあるように、「嬉し鼻水」になっているのかもしれない。

いずれにしろ、感情を絡めた治療はパワフルである!!

2013年11月21日木曜日

『思い込み』が健康に及ぼす影響

私たちは知らず知らずのうちに様々な医学的な健康情報をインプットして、自分の治癒力を信じるよりも、科学的情報の方を信じてしまっている人も少なくはありません。例えば、「椎間板ヘルニアだから手術をしなければ治らない。」「膝関節が変形しているから手術をしなければ治らない。」のような診断を病院で受けると多くの人はそれを信じ込んでしまいます。そのため「手術をしなくても治りますよ!」といっても簡単には変わりません。

ところが最近では、今まであまり語られることのなかった身体に及ぼす心理的影響が語られるようになりました。また、科学的研究の進歩にともなって、構造異常が直接的な痛みの原因とは限らないという真実が明らかになってきています。「変形=痛み」という考え方はとても時代遅れのように感じます。

2002年にニューイングランドの医学雑誌に興味深い研究報告が掲載されました。重度の膝痛の手術が研究対象になりました。研究を行った医科大学の外科医は、どの部分の手術が患者の苦痛を和らげるのかを明らかにしようと考えました。患者を三つのグループに分け、一つ目のグループでは、傷んだ膝の軟骨を削りました。二つ目グループでは、炎症反応を引き起こすと考えられる物質を除去しました。以上の二つはいずれも膝関節炎の標準的な手術法です。

三つ目のグループでは「偽の」手術を行ないました。患者に麻酔をかけ、標準的な手術と同じように三カ所で切聞を行ない、本物の手術のときとまったく同じようにふるまい、しゃべる内容も本物の場合と変わらないようにしました。食塩水を流して、膝を洗浄するときの音を再現することまでしました。40分後、切開した部分を縫合しました。これも本物の手術とまったく同じ手順でした。手術後は、どのグループの患者にも、運動プログラムなどの術後ケアを受けてもらいました。

結果は衝撃的でした。一つ目と二つ目の手術を受けた患者の症状は予想通りに改善しました。そして、三つ目の偽りの手術を施したグループも同じように治療効果が見られたのです!研究を行った外科医は、研究を行う前は「まともな外科医なら、手術にプラシーボ効果などあるはずがないとわかっています。」と言っていましが、その外科医はこの研究結果からはっきりと悟りました。「わたしの外科技術は、全然、これらの患者の役にたっていなかったのです。膝関節炎の手術の成功は、すべてがブラシーボ効果によるものだったのです。」

この研究はテレビのニュースでも紹介されました。プラシーボ・グループの患者が、歩いたりバスケットボールをしたりといった、「手術」前には不可能だったことをこなしている様子がビデオで紹介され、驚くべき結果を実際に目で確認することができました。この患者たちは、自分が偽手術を受けたことに、2年間まったく気がつきませんでした。

この研究成果から外科的手術にはある種の儀式によるプラシーボ効果(暗示効果)があるといえます。言い換えれば「肯定的な思い込み」です。この反対がノーシーボ効果といい「否定的な思い込み」で、椎間板ヘルニアや膝の変形のために関節が痛いと思い込むのはノーシーボ効果と云えます。

様々な健康情報、医学情報があふれている中で、その情報を信じる前に、自分の治癒力を信じましょう。誰にでもある思い込みですが、「肯定的な思い込み」をするかどうかは自分次第です。本当の健康は自分の治癒力を信じることから始まります。

引用文献:『「思考」のすごい力』 ブルース・リプトンN Engl J Med. 2002 Jul 11;347(2):81-8.A controlled trial of arthroscopic surgery for osteoarthritis of the knee.Moseley JB, O'Malley K, Petersen NJ, Menke TJ, Brody BA, Kuykendall DH, Hollingsworth JC, Ashton CM, Wray NP.

2013年11月20日水曜日

神経反射検査法(PCRT)に求められる「直観的思考」

先日、PCRT中級2の研究会が開催されました。講義の冒頭でPCRTのソフト面の検査において、特に「直観的思考」が重要であるということをご紹介させていただきました。普段、私達治療家は臨床で「直観力」を活かすということを意識していません。マニュアル的にプロトコルに従うか、様々な知識情報に基づいて理論的に治療法を組み立てて治療を行うということが多いと思います。PCRTの治療法でもマニュアル的なプロトコルをご紹介しており、プロトコルに従って理論的に治療を施せばよい結果がついてきます。

しかしながら、さらに治療技術を上げるためには「理論的思考」だけでなく、「直観的思考」が求められます。PCRTの特徴でもあるソフト面アプローチには、マニュアル的な理論ではなく「直観的思考」が特に求められます。その「直観的思考」は、大脳基底核にある「尾状核」の活動と関係しているということが分かっており、その「尾状核」の活動は繰り返し訓練することで発達するということが研究で証明されています。つまり、繰り返し訓練することで「直観的思考」は養われるということが分かったのです。

私は、10年以上も前からアクティベータ・メソッドとPCRTのセミナー活動を通じて、多くの治療家達にご指導させていただきました。その経験を振り返っても、この研究成果が腑に落ちますし、示唆に富む大切なことを教えてくれていると感じました。分かりやすい事例で言うと、下肢長検査法や筋抵抗検査法などの神経反射検査法がうまく習得できない治療家の多くが、「理論的思考」が優先された人たちです。平たく言うと理屈っぽい先生達です。

頭の良い先生方ばかりなのですが、恐らく脳の「尾状核」が使われずに「直観的思考」が発揮されないままになっていたのだと感じています。特に私たちが見ている神経反射検査法は、「意識」の部分、すなわち表層の大脳新皮質との情報交換ではなく、深層の大脳辺縁系や大脳基底核との情報交換による検査反応だと推測できます。「意識」レベルの検査ではなく、「無意識(潜在意識)」レベルの検査法なのです。

だから、深層の「無意識」レベルの脳を使って検査しなければ、反応が読み取れないということになると考えられます。「理性的な脳」ではなく、「感性的な脳」を使うという意識が大切になります。そして、その脳を活性化させるためには、繰り返しの訓練が必要になり、これは理屈では語れない部分になります。

PCRTの検査法には様々なレベルがあります。そのため検査を行う際に、どのレベルとエネルギーブロックを診るのかを術者がマインド設定して行わないと、検査法の精度に影響を及ぼします。主な検査レベルとして、第一レベルが「関節、筋肉、筋膜、皮膚など」、第二レベルが「神経系全般」、第三レベルが「経絡、チャクラ、肉体内外EB」、第四レベルが「潜在的感情、五感(環境)」です。これらのレベルと検査を行う際、「理論的思考」ではなく、「直観的思考」で神経反射検査法を行うということが重要だと考えます。

優れた治療を施すために「理論的思考」も高めなければなりませんが、さらに「直観的思考」はPCRTを使う治療者にはとても重要な要因になるということだと思います。

2013年11月19日火曜日

身体のふらつき、浮遊感の一症例

3か月ほど前に、マッサージを受けた2~3日後に身体のふらつき感や浮遊感を発症し脳神経外科を受診。症状があまり改善されずに耳鼻科や内科、別の脳神経外科、鍼灸院、整骨院、整形外科を受診した後に当院に来院された。

病院では自律神経失調症と云われ漢方薬を処方され、鍼灸院では鍼とマッサージを20~30回程度受け、接骨院では第四、第五頸椎のズレと言われ、矯正を受けたとのこと。矯正を受けた後、首をあまり動かさないようにと指導を受けたらしい。

当院ではニューロパターンセラピー(心身条件反射療法)で行う眼球運動検査を行ったところ三半規管の機能異常であることが明らかだった。アクティベータ療法でハード面の調整を行った後、浮遊感の原因となる心身相関の誤作動を診るソフト面の検査を行った。原因となるパターンには否定的な感情と肯定的な感情が絡んでいた。

アクティベータ療法とニューロパターンセラピーの治療回数を重ねるごとに、症状がだんだんと改善されていくのを患者さん自身が実感されていた。特に患者さんの職場で置かれている立場はご本人にとっては深刻だった様子。上司に相談して、職場をしばらく離れる選択肢もあったようだが、治療を継続していくことでその不安は徐々に少なくなってきた。

8回ほどの治療で歩行時の浮遊感はほぼ解消されていた様子。当院に来られるまでには病院や治療院を転々として、症状が改善されずにとても不安を抱えていた様子だった。この症状を発症したことがきっかけで計画していいた旅行も取り止めにしていたとのこと。先日、その旅行にも行くことができたと喜ばれていた。

病院や治療院では症状を改善するために神経学的な検査や構造学的な検査を行ってこられた。しかし、本質的な原因が分からず症状の改善には至らなかったようだ。問診での経過を聞く限りでは、構造的に何か異常があるのでないかと感じるが、問題は目には見えない神経的な誤作動であり、その誤作動はメンタル的な感情と密接に関係していたということである。

「対症療法」ではなく「原因療法」を施すためには心と身体は切り離せない!

2013年11月2日土曜日

PCRT研究会中級2のご案内

11月10日11日にPCRT研究会中級2が開催されます。今回の中級2は、特にソフト面の施術にフォーカスした内容で、基礎1.2、中級1での学習項目が一つに結び付くPCRTの「要」となる研究会になります。

また、今回は特に直観的な思考を養う大切なトレーニングでもあります。機械構造論的な教育を受けた私たちとっては、この有機生命論的な直観型思考はとても重要です。

現代医学、科学の世界では、合理的な思考が中心で、線形的思考、分析的思考、断片的思考が求められます。その一方で有機生命論、エネルギー医学の世界では直観的思考、非線形的思考、統合的思考、全包括的(ホリスティック)思考が求められます。

心と身体を切り離した二元論的な肉体(ハード面)のみの施術ではマニュアル的、あるいはハウツー的にアプローチがしやすいのですが、心身相関に対する検査や施術法は、ハウツー的なアプローチとは異なる統合的でホリステック的なアプローチが必要なため、その手法をマスターするためには、単に生物学的、神経機能学的知識に基づく検査法や施術法に限らず、行動心理学的な知識やトレーニングが必要です。

特に「学習・記憶」をテーマにしたPCRTの施術法は、単に生物医学的な知識や神経機能学的な知識以上に、幅広い行動心理学的なアプローチが求められます。最先端の脳科学の研究が進むにつれて、PCRTの奥深さが証明されているようにも感じます。

今回の研究会では、陽春堂の小久保さんのご協力を得て、検査器具を使用させていただき、施術の指標となるエネルギーブロック検査法を客観的に評価できる研究デザインの可能性を探ってみたいと思います。

それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしています。