2017年6月27日火曜日

様々な症状の改善(自律神経失調症とアレルギー症状)


【経過】

半年ほど前より様々な症状を抱えている女性。病院でも循環器、皮膚科を受診していたとのこと。有名な代替医療の先生にも見てもらったという。当初は、不整脈や肩こりを訴えていたが、施術を継続していくうちに、それ以外にも頭痛やめまい、アレルギー症状など様々な症状を五年ほど前から抱えていたらしい。20回ほどの施術でだんだんと症状が少なくなり、最近では不整脈の症状は落ち着いてきている様子。その他の自律神経系に関連した症状も落ち着いてきた様子。

いつもは様々な症状を訴えられて、他の重い症状が優先されて手荒れの治療までには及ばなかったが、他の症状が落ち着いて今回は手荒れを治したいとのこと。数年前から手荒れやアトピー性皮膚炎の症状も病院や他の代替療法で治療してきたが完治されないままだだったらしい。もかゆみが我慢できない時にはステロイドも使っているとのこと。できれば使わないで治したいという。独身の時は花屋さんに勤めていたが、当時は水を使っても問題はなかった。結婚してから手荒れがひどくなり、一度、手の皮が全部めくれたことがあったとのこと。それ以来、炊事をする際にはいつもゴム手袋をされているという。

【目安検査】

炊事で水を使う→陽性反応
ゴム手袋→陽性反応
洗剤→陽性反応
シャンプーやリンス→陽性反応
皮膚と皮膚(自分の皮膚に対してアレルギー)→陽性反応

【検査・調整】

問診の中から、「料理はしたくないし、さわりなくない」とのコメントがあったので、そこから炊事に関してのPRT検査→陽性反応。料理がしたくないという感情レベルを尋ねると10段階で10レベル。その感情レベルを引き出してPCRTのエネルギー調整を施す。感情レベルを尋ねると10レベルから1レベルへと減少。PRT検査でも1レベル。さらに、問診から薬品やシャンプー、リンス、刺激がある洗剤などは苦手で、体に害を与えそうで触るのが怖いとのこと。これは、以前通っていた代替療法で、化学物質は体に良くないということをいわれ、ご本人もそのことを信じ込んでいるという。これはPCRTでは「意味記憶」という反応にあたり、いわゆる「思い込み」によって、身体が様々な物質に過敏になり過ぎてしまい、様々な症状が生じている状態である。

そこで、そのような化学物質が良くないという思い込みの程度はどれくらいですか尋ねると10レベルという。そこでその思い込みの程度を下げるための施術を施す。その施術を行う際には、ご本人が納得できる新しい「意味づけ」が必要になるので、「人間の適応力の幅の広さ」についてわかりやすく解説させてもらった。

当院での施術効果も実感されており、信頼していただいているからか、ご本人はその説明に納得された様子。そして、PCRTの意味記憶の調整を行う。その後、先ほどの思い込みレベルを尋ねると、ほぼ、0に近いとのこと、PRT検査でも1レベル。自分自身の身体の適応力も信じられそうだというコメントもいただいた。

【術後評価】

6日目の来院では、手荒れの症状がかなりいいという。前回の目安検査も全て陰性反応。その日は、背中や肩こりの症状の施術を行う。

【考察】

長年抱えていた手荒れの症状が一回の施術でかなり改善され喜んでいただいた。何らかの原因で症状がぶり返すことがあるかもしれないが、患者さんは、「長年の手荒れの症状が治る」ということに自信が持てた様子。炊事の際には毎回ゴム手袋を使用していたとのことだったが、その必要も無くなったという。本症例が改善に至る大切なポイントは、洗剤などの化学的物質にも身体が適応できるようになり、過敏反応を生じさせない体質に変われるという新たな信念が持てたことだろう。

確かに身体に害を与える化学物質もある。しかし、「化学物質」=「害」であるかのように一般化してしまうと、様々な化学物質に過剰反応してしまうような体質になりかねない。「悪いものを排除する、避ける」といういわゆる「細菌説」に基づく思想を頑なに信じている人は少なくはない。万人に悪影響を与える細菌やウイルス、あるいは化学物質は避けなければならないが、避けなくても健康に悪影響を与えない、むしろ健康に好影響を与える菌や化学物質もあるだろう。

今回のような一般で市販されているような洗剤などは、多くの人が使っており、それによる健康被害はごく少数だと思われる。もしも、健康被害が拡大していれば、恐らく販売中止になっているはず。そのような現実を鑑みると、一部の偏った情報を信じるのか、あるいは人間の身体の適応力を信じるのかという選択肢がでてくる。細菌やウイルスが進化して、従来の薬が効かなくなるような耐性菌や耐性ウイルスに変身するように、人間も様々な環境の変化や化学物質にも適応できるように進化し続けている。


人間には、様々な化学物質、あるいは進化し続ける細菌やウイルスなどの環境の変化に適応できる能力を持ち備えているということを信じてほしい。悪いものを排除するという現代医学的思想も大切だが、様々な環境やモノに「調和」、もしくは「適応」できるという考え方はもっと大切だろう。

2017年6月22日木曜日

第70回AM大阪セミナーを終えて


 今回のセミナーでは臨床編を担当させていただきました。この臨床編は改定された新しいプレゼンテーションでした。多くのAM臨床家が筋肉系へのアプローチや頭蓋骨へのアプローチを臨床現場で独自に行っていましたが、今回はじめて、アクティベータトリガーポイントセラピー、ならびに頭蓋骨調整として臨床編のセミナーのプログラムに組み込まれました。これらはAMのテキストには掲載されていない内容でしたので、受講生は興味深く聴講していました。

セミナー回数を重ねるごとに、理解度が高まり、技術も向上されている方がたくさんいらっしゃいました。そのような先生方はAMの第二版のテキストを隅から隅まで熟読されており、質問の質も高くなってきているように感じました。また、テキストの中で、「恥骨後方」という今まで紹介されていない項目が記載されていることを指摘してくださった方がいましたが、後で翻訳の誤りだと分かりました。このような熱心な先生たちが集まっていただけることはとてもありがたいことで、ANJ組織全体の資質向上にもつながり、たいへん嬉しく思いました。

今回の大阪セミナーで、日本国内でのAMI社公認セミナーは70回を迎えました。これも今まで協力してくださったANJのスタッフや受講生皆さんのおかげです。記念すべき100回目を迎える頃には、ANJの認定者はさらに増え、社会的にも信頼が高まっている組織に進化していることでしょう。

今後も、AMを健全に社会に広め、地域社会に貢献できる組織へとさらに発展していく所存です。ご協力よろしくお願いいたします。


テキスト修正:P229 2段目上から4行目「恥骨後方」→「恥骨側方」


2017年6月16日金曜日

胸背部疼痛と筋肉注射後の痛み


【術前経緯】
36歳、女性、鍼灸師、家族の介護。背中の痛みと左腕の痛みを訴えて来院。二週間前に背中の中央付近に激痛が伴い、救急車にて病院へ搬送される。筋肉注射と鎮痛剤と痛み止めを処方される。その二週間前にも肺炎で入院しており、その際の背中の痛みも痛み止めを処方されていたとのこと。施術前のVASの痛み10段階で4レベル、うつ伏せになると5レベル。家でソファーに座っていても辛く、常に痛みを感じているとのこと。筋肉注射の後の右腕の痛みは3レベル。

【目安検査】
胸椎部伸展→陽性反応
頸椎右回旋→陽性反応
右肩甲骨後退→陽性反応
右上腕骨伸展→陽性反応
呼吸(吸気・呼気)→陽性反応

【施術】
ハード面の施術をアクティベータ療法にて行う。
骨盤、脊柱、肋骨部などの神経関節機能障害部を調整、特に肋骨前面と後面部の調整にて、楽になった様子で、痛みのレベルは3まで軽減。さらに検査を進めると経絡系に陽性反応を示す。PCRTのハード面調整で経絡の胆経を調整。関節系の目安検査も全て陰性反応に転じる。痛みのレベルは0に消失。
右腕の筋肉注射の後の痛みは、ハード面調整というよりも痛みの記憶(ソフト面)が関係していたので心身条件反射療法(PCRT)のソフト面調整を行う。五感情報の身体感覚→痛覚にて陽性反応。最初に筋肉注射受けた際の痛みの感覚を想起してもらい、PCRTにて調整。痛みのレベルは3から0に転じる。

【術後評価】
背中の痛みは、アクティベータ療法による関節系へのアプローチとPCRTの経絡療法で痛みが消失。筋肉注射の後の痛みは、PCRTにて痛みの記憶にアプローチして痛みが消失。施術後、来院してよかったと大変喜んでいただいた。

治療後は痛みが消失しているけれども、痛みを引き起こす身体のクセが強いとぶり返すことも少なくはない。一回の施術で自覚症状が改善されても、施術を継続された方がいいかもしれない。そのことを説明した後で次回はどうされるか尋ねたところ、痛みがぶり返したらその時にまた来院したいとの意向。その後、二週間以上連絡がないので恐らく問題はないのだろう。