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2018年10月18日木曜日

結果が出せる検査法とは

健康維持や症状改善のための検査法を大きく分けると、自然治癒力や身体機能を引き出すための「機能学的検査法」と、身体構造を修正するための「構造的検査法」に分けることができます。先日開催されたアクティベータ・メソッドで使われている下肢長検査法は、「機能学的検査法」です。いつも下肢長検査法のレクチャーで強調しているのは、「機能的に診るのであって、構造的に診るのではない」ということです。経験のない受講者にとって、最初はこの概念を理解することは容易ではありません。

通常は機能=動き=働きというように考えますので、静止状態で下肢長を機能的に検査するとはどういうことなのか理解に苦しむところだと思います。静止状態では機能が分からないというのはもっともな理屈ですが、関節や筋肉を自動的に動かさなくても、生体は生きている限り神経系を通じて微妙に働いています。脳の細胞が寝ている間も活動しているように、筋肉を動かさなくても筋肉細胞やそれをコントロールしている神経細胞は常に動いているのです。そして、静止状態における筋肉細胞の微妙な働きは「筋肉のトーン」として現れます。

AMの下肢長検査は静止状態で相対的な下肢長差を判断します。筋肉や靭帯などを無視して骨の長さで診るのか、「関節のあそび」に関連する人体や筋肉のトーンで診るのかで、下肢長差の判断に大きな違いがでてきます。「構造的」に診ると左が短く見えるが、「機能的」に診ると右が短く見えるという場合もあります。初心者の多くはこの判断に苦労します。機能的に下肢長を診るスキルをマスターするのは、適切な指導の元で、繰り返し訓練することが大切です。数多くの患者さんの「機能的下肢長検査」を繰り返すことで、脳が自然にそのコツを覚えていきます。

恐らく教科書や文章を読んだだけでマスターしようとうしても難しいかもしれません。公認AMセミナーでしっかりと基本を繰り返し学び、それを臨床現場で何度も繰り返して自分の身体に覚えさせていく必要があります。私たちの施術は生体の機能を回復させる施術ですので、構造的な検査をしてもあまり価値はありませんし、構造的な検査を指標にしても結果がでないでしょう。機能の問題は機能的な検査に基づいて機能障害を判断し施術を行うので結果が伴うのです。もしも、構造の問題であれば、画像診断などの構造的検査に基づいて施術を行うのは言うまでもないでしょう。

AMは関節筋肉系の機能異常を調整するにはとても効果的な治療法です。適切な機能的下肢長検査ができれば、控えめに言っても9割は機能改善の結果が得られるはずです。もしも、結果が得られないのであれば、まずは、ご自分の下肢長検査法の精度を疑ってみましょう。機能的に検査しているのか?構造的に検査しているのか?そこに大きな上達のヒントが隠されているはずです。

2018年9月25日火曜日

妊娠7ヶ月の妊婦さんの腰痛、関節痛の改善

20代後半の妊婦の患者さんが、腰痛と股関節、恥骨部周辺、足部周辺の痛みを訴えて来院。アクティベータ療法にて、骨盤、背骨など比較的多くの部位の調整を行なった。特に恥骨周辺部位は通常よりも多く調整した。施術後には、施術前に陽性反応を示していた関節可動制限や運動時痛は全て消失。

2回目の施術は次の日に連続して来院していただいた。骨盤と背骨を調整、恥骨部や他の四肢部の関節は安定していた。しかしながら、右側の上肢と下肢の筋肉群の機能低下と右小脳の機能低下の陽性反応が示されていたので、アクティベータ療法の後にPCRTを加えて調整を行なった。患者さん曰く、全体的に悪かったけど、どちらかというと右側の股間部の方に痛みを感じていたというようなことを話されていた。

3回目の施術も次の日に連続して来院していただいた。左の足背部が少しピキッとした痛みがあったとのこと。アクティベータ療法で調整を行う。最初の施術部位の数に比べて、調整部位がかなり少なくなり、関節系はかなり改善しているとのことだった。その日は、以前から気になっていた皮膚症状の施術もPCRTで行なった。

本症例で調整部位の記録を取ったカルテを見ると、初回から2回目、3回目と調整部位が激減していた。初回ではあまり強い痛みを訴えていなかったが、調整した後で振り返ると、おそらく痛みを我慢されていたのではないかと察した。妊婦さんは赤ちゃんがだんだんと大きくなるにつれて、その重さを支える筋力とバランスが大切である。同時に骨格も変化してくるので、腰痛や骨盤などの症状が生じやすくなる。そのような妊婦さんの関節痛にはアクティベータ療法の調整刺激は刺激が優しくとても効果的である。

妊婦さんの腰痛や骨盤痛にはアクティベータ療法がいつも好評である。

2018年9月19日水曜日

アクティベータ・ネットワーク・ジャパンの連携

先日、海外でアクティベータ療法を受けられたことがある方が、そこの先生からのご紹介で来られた。三ヶ月前に海外から福岡に帰省しており、しばらくしてからメンテナンスの目的もあり当院をご利用していただいた。海外に赴任されていた際には、顎関節症などで困っていたらしく、職場近くで開業されていたアクティベータ療法の認定資格をもっている先生に治療していただいたとのこと。通院治療を継続されていくごとに、症状が改善されたとのことで、その先生に治療していただいたことを大変喜ばれていた。

今回は、ときどき肩こりと首の痛みがあるとのことで、同じアクティベータ療法で施術させていただいた。同じ療法なので、安心して受けていただいた様子で、施術後も変化を感じていただき喜んでいただいた。最初に施術された先生が認定者であり、基本通りにアクティベータ療法を行っているので、施術もスムーズに進めることができた。

受付で、その患者さん曰く、「(最初の)〇〇先生は、自分の癖を修正してもらうためにセミナーに毎年参加しているけれど、いつも緊張すると言われていた・・・」と話されていたそうだ。その先生も多くの患者さんに喜ばれている成功者だけれども、それに満足することなく、初心を忘れずに、セミナーでは自分の癖を修正して、技能に磨きをかけている謙虚な姿勢が素晴らしいと思う。

アクティベータ・ネットワーク・ジャパンのつながりで、多くの患者さんが転勤などされても引き続き継続治療できるように、私たちはアクティベータ療法の認定者を育成する活動を今後も継続していきたい。

2018年1月27日土曜日

急性腰痛症(#アクティベータメソッド症例)

急性腰痛症(#アクティベータメソッド症例)

四十代男性。3日前くらいから腰に違和感があり立ち上がるときに痛みがあったとのこと。研修中に歩いていたら腰にビキッという違和感を感じ、その後、真っ直ぐに立てなくなったらしい。たまたま隣に座っていた人が、長崎で開業されているAM(アクティベータメソッド)を使っている先生のところに電話をかけくださり、その先生を通じて当院を紹介された。来院時、旅行用キャリーバックを横向きにして取っ手を下げたまま、キャリーを使わず、バックに手をつきながら床に這いつくばるようにして来院された。

通常の検査ができないため、椅子に腰掛けたままで検査を行う。腰椎椎間板由来の症状であったが、下肢への痛みなどはないとのこと。前屈状態からどの方向へも動かすことが厳しい状態なので、フィンガーテストでエネルギーブロックを検査し、座位のままでアクティベータ器を使った。治療台そばのパーテーションに掴まりながら、前かがみで立ち上がることができた。立位にある治療台を背にして、仰向け状態になってもらおうとしたところ、激痛がある状態で到底仰向けにはなれない。

治療台を立て直し、うつ伏せの状態になってもらう。そこからAMを行い関節系、筋肉系の調整を行う。その後、立位状態に治療台を起こすと、患者さんは通常の立位姿勢を保つことができ、「わ〜、すごい!」と喜んでいただいた。恐る恐るではあったが普通に歩くことができるまで回復。旅行用キャリーバックを縦向きにして、取っ手を上げた状態でキャリーを滑らせて持ち帰ることができた。

次の日の朝も来院。前日の治療後、「適度に歩いた方がいいかもしれない」と提案させていただいた通り、来院前に20分ほど歩かれたとのこと。さらに回復されていた様子。AMの調整を行い、腰部の関節可動域もさらに広がった。遠方からの来院だったので、ご自宅近くのAM認定の先生を紹介させていただいた。次の日、患者さんから電話があり、さらに良くなって喜ばれていたとのことだった。

MRIなどの画像検査をしてみないとはっきりしたことは言えないが、おそらく腰椎椎間板にストレスが加わり、線維輪が断裂している状態。その程度によって椎間板内の髄核が脱出して椎間板ヘルニアの状態になっているのか定かではないが、いずれにせよ関節系と筋肉系のバランス調整は必要になる。通常医療では骨盤牽引やサポータで固定するなどの方法もあるだろうが、自らの身体でサポートできる状態に調整することが、何よりも大切だろう。


線維輪の断裂の修復には時間が必要になるが、関節系と筋肉系のバランス調整を繰り返しながら、腰椎椎間板に無理なストレスが加わらないように身体を学習させていくことが症状改善への助けになるだろう。

2017年7月31日月曜日

AM5050周年記念米国研修参加報告

2017720日から22日に渡って、アクティベータ・グローバル・リーダーシップ・カンファレンスが開催された。最終日にはAMの創立50周年に当たる記念式典も催された。今回アクティベータ・ネットワーク・ジャパンからは5名が参加した。

 初日の講義は、Dr. Nathan Unruhによる盛業メソッドのプレゼンが行われた。テクノロジーを駆使したマーケティング戦略が印象的だった。次に、ディレクターやインストラクター達の非公開のミーティングで今後の展望や注意事項が伝達された。今後、グローバルにオンラインセミナーを活用する計画であるとのこと。

2日目の最初のスピーカーは、Chicken Soup for the Chiropractic Soulの著者で元パーカーカイロプラクティック大学学長のDr. Fab Manchinだった。パブリックに耳を傾け、自らがスピーカーになってストーリーを語り続けることの大切さを伝えていたことが印象的だった。

二人目のスピーカーは、WFC(世界カイロプラクティック連合)会長、Dr. Richard Brown。カイロプラクティックの世界的動向についてのプレゼンがあった。その後、CCEの会長やギリシャカイロプラクティック協会会長や法律家やなどを交えてパネルディスカションが行われた。

三人目のスピーカーは、パーマーカイロプラクティック-ウエスト大学の会長、Dr. William Meeker。米国におけるカイロプラクティックの認知に関する調査結果が報告された。米国のカイロプラクティックの利用者は、首や腰の痛みに対して95%の人が効果的だと答えている。61%の米国人がカイロプラクティクは首や腰の痛みに対して効果的だと信じており、29%の米国人がカイロプラクターを最初に選択するとのこと。

カイロプラクティックに関する5つの質問項目があり、まずは、安全であるか?効果があるのか?カイロプラクターは本当のドクターなのか?誰がカイロプラクターを受診するのか?カイロプラクティックは首や腰の痛みに効果的なのか?米国には医療分野でドクターの学位を有する職業が4つあり、それに必要な教育時間を比較して報告されていた。Medical Doctor4800時間、Doctor of Osteopathy4665時間、Doctor of Chiropractic4620時間、Doctor of Physical Therapy3870時間とのこと。
 
四人目のスピーカーは、現在、イギリスの名門大学の一つであるケンブリッジ大学の神経学教授を勤めているDr. Frederick Carrick。アクティベータのアジャストメントがどのように神経系に影響を及ぼすのかの可能性についてのプレゼンがあった。

夕方からは、ドクターファーと奥様のジュディーさんからのご招待で、地元の球場で大リーグを観戦させていただいた。とても白熱した試合で、日本のインストラクターチームを初め、イギリスやブラジルからの参加者も野球観戦を存分に楽しんだ。

余談になるが、試合が始まる前に米国の国家斉唱が始まると、通路を歩いていたお客さんは足を止め、店員さんも作業を止めて胸に手をあてて、アメリカ国旗を見つめていた。誰もその静粛な雰囲気を乱す人はいなかった。以前から知ってはいたが、改めて米国人の愛国心に感動した。

最終日の午前は、Steven B. Wiley氏によるリーダーシップに関するプレゼンが行われた。リーダーシップの概念として、トランザクショナル(取引型)とトランスフォーメショナル(変革型)のリーダーシップの違いについての説明があった。トランザクショナルは権威や

規律によって部下を統率していくタイプで、トランスフォーメショナルは人格的に部下を教化して目標に向かって率いるタイプなどの説明があった。

日本のアクティベータチームのリーダー、責任者としての活動も18年目。お陰様でとても洗練されたチームになっている。今日までたくさんの先生達に協力していただき、チーム全体の個性もそれぞれのメンバーの個性によって変化してきた。チームとしては様々な紆余曲折があったが、その都度成長してきた。東洋的に言えば、チームリーダーには「義」と「愛」が大切なのかなと今回の講義を聞いて感じた。
 
午後からは、スペイン在住のDr. Ricardo FujikawaDr. Arantxa Orgega de MuesよりアクティベータVによる骨粗鬆症への効果に関する研究報告があった。アクティベータを使っているドクターのほとんどが、このリサーチの価値や未来への可能性を感じたのではないだろうか?アクティベータVによるアジャストメントが骨粗鬆症に影響を与えているという科学的研究は追試され、さらに広がってくるのかもしれないと感じた。

その他、いくつかのプレゼンがあり、夕方からAM50周年の記念式典が開催された。豪華な会場でディナーを味わった。その後、ローガンカイロプラクティック大学やWFC(世界カイロプラクティック連合)、ヨーロッパのカイロプラクティック団体などから祝辞とお祝い品がドクターファーに贈呈された。日本からはAMを使ってその恩恵をうけている先生達から寄付を募り、博多人形と寄付者の名前を刻印した記念の盾を贈呈させていただいた。博多人形は無形文化財保有者、人間国宝の宗田源蔵作の「羽衣」の能の人形。気品のある荘厳な雰囲気が心のこもった日本からの贈り物として伝えることができたと思う。
 
最後に、AMを率いているインストラクター達への表彰が行われた。年間ディレクター賞や年間リサーチ賞などが表彰され、驚いたことに私もイーグル賞という名誉ある賞をいただいた。私は、米国のインストラクターカンファレンスに参加させていただいて20年目になるが、この賞は特別な人しかいただけないことを知っているが故に嬉しさもひとしおだった。この賞は、今日まで協力してくださった日本のスタッフのお陰でもあり、コツコツと積み重ねてきた日本チーム全体に与えられた賞だと思っている。
 
今回の節目となる50周年の記念行事に参加させていただき、さらなる成長と貢献を積み重ねていこうと心を新たにした。日本チームはさらに成熟し次のステージに向かい、目の前の患者さんはもちろん、日本の健康医療に貢献したいと思う。


2017年4月11日火曜日

急性腰痛の早期改善

急性腰痛の早期改善

患者情報:
40代女性、昨日、職場でくしゃみをした時から急に腰が痛くなり、だんだんと悪化したとのことで来院。10数年以上も前から何か不調があるごとに当院を利用していただいている患者さんである。今回は1年と3ヶ月ぶりに来院された。

【1回目の施術】

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節、両肩関節、両肩甲帯関節、胸骨関連関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
筋肉・関節(自動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、両股関節・・・ほとんどの動きで痛みを誘発
体軸(他動検査)両下肢体幹軸

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
PCRTの空間ブロック調整法にて骨盤、腰部、腹部、胸部周辺のEBを調整

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みのためにできなかった骨盤・腰部周辺の他動運動検査でも痛みの誘発はほとんどなかった。

患者さんの症状はかなり改善され喜んでいただいた。

【2回目の施術】4日後に来院

問診:
術者:その後、どうでしたか?
患者:荷物を持つ仕事で、休むことなくできているのですが、朝起きてから痛くて、1時間ぐらい身体が固まっている感じです。身体を動かしているとだんだんと良くなるのですが、前屈みの時に痛いですね。

目安検査:陽性反応
筋肉・関節(他動運動検査)=骨盤関連関節、腰部関節、頸部関節、特に腰部前屈運動と左側屈運動にて疼痛

ハード面調整(肉体内関係の誤作動記憶調整):
AM(アクティベータ・メソッド)のベイシック調整とアドバンス調整を骨盤関連関節、腰部関節、胸部関節、頸部関節に施す。
特記)椎間関節部の反応が顕著であったため、腰部関節を側屈させファセットの調整を施す

施術後の目安検査の再評価:
施術前に陽性反応が示されていた目安検査は全て陰性
痛みが誘発されていた腰部前屈と左側屈の陽性反応は消失。

患者さんは施術前の痛みの消失に喜んで、安心された様子が伺えた。

考察:
急性腰痛の患者も様々であるが、今回の患者はくしゃみをしてから急に腰痛が悪化したことから、腰椎椎間板に何らかのストレスが加わり、椎間板内の線維輪や周辺の軟部組織を痛めた可能性もある。髄核が飛び出して、ヘルニア状態になっているかどうかは定かではないが、施術後の体重負荷ですぐに安定していたので、おそらくヘルニア状態にまでにはなっていないことが予測される。もしも、線維輪が破れ、髄核が飛び出してしまうほどの状態であれば、テーブルの上ではかなり動けるようになっても、いざ体重負荷をかける時になると、疼痛が増強することが多い。その場合、徐々にテーブルを起こしながら、その都度、その体勢で調整を行い、立位姿勢に適応できるようにサポートする。今回の患者はそこまでの調整は必要なかったので回復が早いだろう。

AM(アクティベータ・メソッド)は、関節や軟骨周辺の細かな神経受容器に調整振動が届くので、このような急性腰痛の患者にはとても効果的である。