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2020年10月26日月曜日

「ハウツウ」から「なぜ」を考える治療者へ

【受講生からの質問】

「機能的な神経異常を改善する治療はアクティベータメソッドだけでしょうか?他のカイロプラクティックも同じ目的で治療を行っているのでしょうか?」


前回のブログでもご紹介させていただいた様に、上記のAMオンラインセミナー後の質問で私なりに実技セミナーで回答させていただきました。その内容を一部ご紹介させていただきます。この質問は、簡単に答えることもできるし、数時間かけて答えることもできる質問です。


カイロプラクティックに限らず多くの施術法で結果が伴うものは、多かれ少なかれ機能的な神経異常の改善によるということが言えると思います。施術者によっては、気の流れが良くなったから症状が改善したと判断する人もいるでしょうし、関節を構造的に正常な位置に調整したら改善したと主張する人もいるでしょう。


なぜ効果があったのかのメカニズムは考えずに〇〇療法だから効果があったという人もいるでしょう。筋肉をストレッチしたから効果があった。筋膜をストレッチしたから効果があった。頭蓋骨を調整したから効果があった。骨盤を調整したから効果があった・・・と、本質的なことは抜きにしてハウツウ手法だけを頼りに施術をしているかもしれません。


私も臨床現場で駆け出しの頃はそうだった様に、多くの施術者がハウツウを頼りに施術をしているのかもしれません。私はそのことを踏まえて丁寧に説明する必要があると思い、なぜかSimon Sinek氏のゴールデンサークルのことを思い出してその理論の一部を引き合いにして施術の目的に対する考え方をご紹介しました。


ゴールデンサークル理論は、「why・how・what」の3つの円で構成されていて、物事の本質を説明するためのフレームです。Simon Sinek氏が説明している内容からは少し異なる解釈ですが、私なりにこの理論の一部が今回の質問に関係すると感じて紹介しました。


三つのサークルは以下のような構成になっています。


「why」 ・・・なぜそうするのか(信念、目的、何のためするのか)

「how 」・・・どうやるのか(商品やサービスの説明、方法、理論)

「what」・・・何をするのか(商品、サービス)


多くの患者(消費者)が、新しい施術法を受ける(買う)時、あるいは、施術者が新しい施術法のセミナーを受講(買う)時、「何をする施術法なのか」(What)、に関心を寄せます。AMであれば、「アクティベータ器でパチパチしてもらう」となるでしょう。


次に、「どのように施術をするのかの「手法・手順」に関心を寄せます。」(How)、に関心を寄せます。AMであれば、「どのように検査し、どのように調整するのか」になるでしょう。


次に、「なぜ、そのような検査、調整法をするのか」(Why)、に関心を寄せます。もちろん、AMでも他の施術法でも患者の症状を改善するという目的は大前提ですが、AMでは神経関節機能障害を特定して、神経系を活性化して症状の改善を図ることを目的としているからです。


他のカイロプラクティックテクニックも多少の哲学的な違いはありますが、最後の「Why」、に関しては、神経生理学的な機能異常を改善することを目的に、患者への健康に貢献しています。なぜならば、「神経系」が身体全体の機能(働き)を司っているからという理由になります。


多くの患者や施術者は、「What」か「How」に興味を注いで、「Why」まで興味を注ぐことは少ない様です。私が卒業したカイロプラクティック発祥の大学ではカイロ哲学の講義が多く、「Why」について大切さを教えられました。したがって、私も自然にその大切さが身についているのだと思います。


西洋医学とは異なり、代替医療の考え方、哲学思想は様々ですが、私はこの「Why」がとても大事だと考えています。だからこそ、「治療哲学」や「調整のメカニズム」などの動画でも話している様に、私はそのことを長年語り続けています。


私は、単にブランド名や「ハウツウ」だけでなく、「なぜ」の部分を考える治療者仲間が一人でも多く増えることを願っています。



2020年10月23日金曜日

AMオンラインセミナー後の質問での気づき

【受講生からの質問】

「機能的な神経異常を改善する治療はアクティベータメソッドだけでしょうか?他のカイロプラクティックも同じ目的で治療を行っているのでしょうか?」

 

最初にこの質問を受けた時、一瞬、「えっ、・・・」と、首をかしげたのですが、よくよく考えると真っ当な質問で、その先生の立場になればごもっともな質問だと思い直しました。私も修行時代、整骨院の臨床現場で働いていた時は、機能的な神経異常とか、何の目的で治療しているのかなどは深く考えていなかったように思います。

 

患者さんの症状を良くするため、自然治癒力を高めるためなど漠然とした目的で、ハウツウ的な施術は行ってはいたものの、電気治療、鍼治療、手技療法などの背後にある治療メカニズムを熟知して施術を行っていませんでした。本質が分からないまま、マニュアル通りの施術を行なっていた当時を振り返りました。

 

しかしながら、結果的にはその矛盾点や手技療法のメカニズム、奥義を知りたくてカイロプラクティック大学への米国留学。卒業して臨床現場で思考錯誤の結果、その本質を語れるまでに至ったわけです。そして、この治療の本質、カイロプラクティックの本質は、カイロプラクティックの哲学書などの書籍で“知っている”というレベルではなく、臨床現場で繰り返し検証した経験、体験によって得た“確信している”というレベルです。

 

正規のカイロプラクティック大学教育を受けたDCでさえも、そのレベルまで確信して臨床を行なっている人がどれだけいるのかは分かりません。カイロプラクティックの目的は、様々な表現の仕方はありますが、端的に言えば、神経生理学的な機能異常の改善を目的にしています。今となっては私にとって当たり前過ぎるくらいの考え方なので、上記の質問に首を傾げてしまったのだと思います。

 

純粋に質問していただいた先生には申し訳なくも感じ、質問していただいている先生の立場で受け止めていない自分を反省しました。私が進みすぎていると言えば聞こえがいいかもしれませんが、治療法を教える指導者としての立場としては、今日にいたる過程を顧みずに麻痺していた様にも思います。

 

米国で53年継続しているAMセミナーは、米国カイロプラクティック大学が認めている卒後教育セミナーであり、DCやカイロプラクティック大学卒業間近な学生やその他のドクターレベルの治療者でしか受講することができません。当然のことながら基礎医学や基礎の臨床学を学んでいることが前提で行われるセミナーです。

 

日本国内ではドクターファーと私との信頼関係でセミナープログラムが委託され、日本語に翻訳して米国と同様のカリキュラムでセミナーを開催しています。日本国内では20年継続しており、国際基準のカイロプラクター以外の医療従事者も広く受け付けて、アクティベータ・メソッドを啓蒙しています。

 

当然のことながら、国内の医療従事者はカイロプラクティックの哲学や思想など知らない人がほとんどです。その様な日本国内の事情を考慮して、カイロプラクティックに関する哲学や思想を間接的にではありますが、少しずつ学んでいただいています。また、認定試験までの必修単位(受講時間)も国際基準のカイロ学位者よりも多く設定しています。

 

また、実技試験のハードルは、おそらく国際的に十分なレベル、いやそれ以上に設定されていると思います。できるだけAMセミナーを繰り返し受講していただくことで、実際に臨床で効果を引き出すことができる施術者が毎年育成されています。今後もさらにセミナーの質を高めて結果の出せる施術者の育成に努めて参りたいと思います。

 

2019年12月12日木曜日

第79回AMセミナーを終えて

先日、今年最後のAMセミナーが終了しました。熱心に参加して下さる先生方と共に学びを深められることをいつも有り難く思っております。AMのことをよく知らない人たちにとっては調整器具自体が強調される傾向にありますが、臨床的な効果につながる大切なポイントは「一貫性のある下肢長検査法」です。二日目最後のワークでは、それぞれの課題に応じてグループワークが行われます。いつも人気のワークは「下肢長検査で反応を読み取るワーク」のグループです。

これは、多くの先生方が、「臨床上、反応を読み取る技術が重要である」ということを認識されているということの表れだと思います。もちろん、コンタクトの仕方も治療効果を引き出す上でとても大切です。これらの技術技能は恐らく教科書を読んだだけでは学べない内容だと思います。繰り返し体験して、他者からのフィードバックを得て「気づき」が得られるものだと思います。この「気づき」は言葉では表せないいわゆる「コツ」のようなものなので、体験して習得するしか方法はありません。

今回のセミナーにおいても、この「気づき」を得た先生が何人もいました。恐らくセミナーで得たいくつかの「気づき」は、ご自分の臨床現場で生かされているのではないでしょうか?「技」というものは、『「頭」ではなく「身体」で覚える』と言われ続けています。まずは、「基礎」の「型」をしっかりと身体に覚え込ませながら、多くの患者さんの身体を通じて、生体反応やコンタクトの程よい感覚を体得していただければと思います。

それではまた、来年度もセミナー会場でお会いしましょう。


2019年11月21日木曜日

「技」を極める

手技によって行われる施術は徒手療法、あるいはマニピュレーションと呼ばれています。カイロプラクティック、整体、オステオパシーなど様々な施術法があります。アクティベータ・メソッド(AM)もカイロプラクティック大学で教えられているテクニックの一つです。筋骨格系の痛み症状に対しては即効性のある効果的な施術法です。一見シンプルに思える施術法ですが、その「技」には奥深いものがあります。最近ではオンラインによる動画で学ぶこともできるようになっていますが、「技」をマスターするためには、実際に体験し、多くの熟練者の技術をライブで体感することが重要だと思います。「見て学ぶ」ことも大切ですが、その情報「インプット」した後は、実際に行って「アウトプット」し、他者からのフィードバックをもらい「微調整」をすることがさらに大切になります。

「見て」→「体験して」→「フィードバックを受けて修正」この一連の流れを繰り返し継続して、自分なりの「コツ」を掴むことが上達の近道です。「コツ」の掴み所は人それぞれですが、それは「体験」を通じてのみ得られるものなので、マニュアルを読む、動画を見るだけで得ることは難しいでしょう。例えば、AMの下肢長検査のポジション1では、術者の立ち位置、手の当て方、頭上方向への圧の加え方など説明はマニュアルに記載されているので分かると思いますが、踵骨部から頭上圧をゆっくりと加えて、反応下肢側の緩みが感じられるという感覚、軸圧刺激によって神経関節機能異常の神経学的反応を引き出す「コツ」は実際に体験しなければ分からない「感覚」だと思います。これは、単にどちらが短いとか長いとかの単純な「見方」ではありません。神経学的生体反応の「感覚」をご自身の臨床現場で繰り返し体験することで、自分なりの「コツ」として掴めるようになるのだと思います。

まずは、「基本の型」を習得し、次に実際の「生体反応」を読み取る「技」を習得します。もしも、反応が読み取れる段階に入ると、どの部位の関節、あるいは筋肉に神経学的機能異常が生じているか否かが分かるようになりますので、結果的に筋骨格系の痛みなどの施術効果が出せるようになります。ただし、しっかりと安定したコンタクトが出来ていることなどの臨床的なスキルも当然のことながら必須条件になります。このコンタクトの仕方も、教科書的には〇〇パンドという数字的な記載はありますが、同じ年齢の大人でも体格は異なりますし、筋の緊張度、過敏度は人それぞれに異なります。アクティベータ器による圧の加え方において、科学的なデータから導き出された基準圧を参考にすることは必要ですが、臨床では臨機応変に目の前の患者に合わせてコンタクトすることが大切です。このことも実際に「経験」を積み重ねることによってのみマスターできることだと思います。

ある程度のAMの「技」がマスターできると、患者さんにも喜ばれるようになり、治療家としての自信がついてきます。治療家としての自信は大切なのですが、中途半端な「技」になると、我流へと傾いて、偏った反応でしか読み取れなかったり、偏ったコンタクトによって、引き出せるはずの結果が出せなかったりというような状態に陥ることもあるようです。これは、ある意味自信過剰になって、知らず知らずのうちに自分の「技」の盲点に気づかないままになっていたといえるでしょう。そして、結果が引き出せない原因を自分の技量ではなく、テクニックのせいにしてしまうのです。厳しいことを言うようですが、これは私が20年以上アクティベータ・メソッドを教える立場を継続させていただいた経験に基づく見解です。もっと粘り強く真摯に「技」を極めて欲しいと願います。真摯に継続すれば必然的に身に付く「技」です。そして、ある程度の「技」を極めれば、治療家としての一生の財産になると私は思います。

それでは、次回のセミナーで皆さんと共にさらに「技」に磨きをかけていきたいと願っております。

2019年9月23日月曜日

「How to」を超えたさらなるステップ アート=直感力=人間力

徒手療法を施す施術者が施術法を学ぶにあたって、多くの治療家は「どのようにするのか?」という手順、技法に目を向けます。次にその背景にある「なぜそうするのか」という理論や哲学、そして、その理論に科学性があるのか、あるいは技法に客観性があるのかということに注目します。

多くの施術者が同じ施術法で同じ結果を出すためには、「どのようにするか?」(How to)を統一する必要性があります。そして、「なぜそうするのか?」(Why)を同じように説明できなければなりません。現代医療は科学という客観的な検証に基づいた医療が主流ですので、客観性があると多くの患者さんが信頼を寄せてくれます。

様々なカイロプラクティックのテクニックがある中で、アクティベータ・メソッドは半世紀以上にわたって同じ手法と理論を継承し続け客観性を重視してきました。そして、それを活用している世界中の多くのカイロプラクターが、腰痛や関節痛などの筋骨格系症状に対して自信を持って施術を行っています。

効果を引き出すためには、神経関節機能障害の神経生理学的エラーを感知できる下肢長検査の熟練が必要不可欠です。また、調整する際の適切なコンタクトと調整法のタイミングの技法も“コツ”があり、それは教科書だけでは学べない内容が多く、その“コツ”をセミナーで習得する必要があります。

効果を引き出すためには、上記に述べた「How to」が必須条件になりますが、機械の修理とは異なって、心を持った人間を対象にしているので、同じような腰痛患者でも人によって微妙に異なります。言葉の掛け方、検査の仕方、説明の仕方など、患者一人一人に合わせて接し方を変えなければなりません。それは、言葉では表しにくいアートの領域であり、経験から導き出される「直感力」や「人間力」が必要になります。

そのような臨床における施術者としてのアートの領域は経験を積んでいく必要性があります。単に「どのように」(How to)だけを習得すればそれで終わりではなく、「なぜそうなるのか」(Why)や臨床で大切な「直感力や人間力」を深める必要性が求められるでしょう。

私はそこに治療者としての奥深い醍醐味があると考えています。毎日の臨床において、本当に一人一人の患者さんの立場になって、その方の未来を考えて真摯に向き合っているのか?患者さんのニーズに幅広く応えることができる治療者になるための努力を怠っていないのか?当たり前のことではありますが、日々問いかけるように心がけています。

2019年6月13日木曜日

人の「記憶」はあてにならない


先日、AMセミナーのインストラクターミーティングで、一人のインストラクターから話を聞いて驚いた。そのインストラクターによると、ある受講生が通常のAM手順を行わずに、3箇所ほど検査をして、陽性反応があった箇所を続けて調整を行なっていたという。手順が違っていたので、丁寧に指導したところ、その受講生はそのように習ったというらしい。誰から習ったのかと尋ねると、代表である私から習ったというのです。

私はそのことを聞いて呆気にとられました。私は、日本でAMI社公認セミナーを始めたインストラクターとして18年目になりますが、そのような指導をしたことは一度もありません。むしろ、そのような誤った手順で行なっている受講生に指導をしたことはあっても、それは基本から外れているのであり得ないし、そのようにしてはいけない理由も伝えています。

なぜ、そのように先に何箇所も検査をして、反応があった箇所を連続して矯正してはいけないのか?AMが提唱している理論をご紹介しましょう。AMI社公認のAMセミナーでは手順として「下から上に」向かって検査と調整を行います。

「上から下」ではなく、なぜ「下から上」なのか?それは重力との関係性を考慮しているからです。人間の活動は常に重力に逆らって行われます。したがって、下の土台がしっかりと安定していなければ、上のバランスに問題が生じます。家を建てる際に土台が不安定だと家は崩れやすくなるのと同じ理屈です。

次に、なぜ、最初に数カ所検査をして、陽性反応の箇所をまとめて調整してはいけないのか?それは、最下位の一ヶ所目を調整した場合、上の陽性反応部位が連動して調整される場合がある。あるいは、調整したことによって、異なる部位に陽性反応が生じる可能性もあるからです。

AMでは出来るだけ少ない箇所の調整を推奨しています。それは、調整箇所を最小限に止めることで脳・神経系が混乱せずに治そうとする力(自然治癒力)が効果的に発揮しやすいという理屈です。コンピューターを使いすぎるとパフォーマンスが低下するという現象にたとえて説明しています。

以上の理論は、セミナーのマニュアルにはないので毎回説明しているわけではありませんが、受講生からの質問にはいつもこのようにお答えさせていただいています。おそらく私の伝え方が不十分だったので、今回のような誤解が生じたのかもしれません。

「人の記憶はあてにならない」ということは、最近の脳科学の研究でも証明されていますが、このようなことが起きると、伝え方には十分に配慮しなくてはならないと改めて考えさせられます。記憶は後で入ってきた情報や、心理状態の影響を受けて刻々と姿を変えてしまうということがいくつかの研究で明らかになっています。

今回の受講生に限らず、伝言ゲームのようにある事柄が歪んで伝えられているということは指導者として経験することです。そのような事実も含めてさらにセミナーにおける学習方法をさらに工夫する必要があります。また、人の記憶はウソをつくが、人の行動はウソをつかないということも含めて指導者としてよく人を観察しなくてはならないと思いました。

2019年4月18日木曜日

平成最後のAM東京セミナー2019年4月14-15日

先日は平成最後のAMセミナーが東京で開催されました。2001年度から始まったAMI社公認のセミナーが今年で19年目に入りました。日本で開催される以前から私は米国で開催されるインスタラクターセミナーに毎年のように参加させていただき、その最新のAMプレゼンテーション内容を日本のセミナーでご紹介させていただきました。そして、その成果は、受講されている先生方の臨床現場でも発揮されて、ANJのネットワークの和が着実に広がっているのを感じています。

開催当初からAMIのプログラムをそのまま紹介しながら、その背景にある治療哲学も伝え続けてきました。AMI社公認セミナーが長きに渡って日本に広まり続けているのは、単にハウツウ的なノウハウを教えるのではなく治療哲学がブレンドされているからだとコメントしてくださる先生もいます。確かにハウツウだけでも効果はあります。そこから一歩進んで幅広く患者さんの症状に対応するには「なぜ」効果があるのか?「なぜ」痛みが瞬時に消失するのかを理解する必要があります。

ミクロな神経生理学の理屈は必要ありません。もっとマクロ的に「なぜ効果があるのか」のメカニズムさえ分かれば、それで十分に患者さんに納得していただける本質的な説明ができます。また、効果を引き出すためには、神経学的な生体反応を読み取る技術が必要になります。その検査の領域でもハウツウ的な技法のみならず、「なぜ」反応が出るのかが分かればさらに反応を読み取る検査技術も高まるはずです。

そのような感性的な技法を高めるには、繰り返しの訓練が必要です。セミナーで気づかれたご自分の問題点を修正してそれをご自分の臨床現場でアウトプットして下さい。感性的な技法を高めるためには理屈ではなく繰り返しの訓練が必要不可欠です。ANJの体験型のAMセミナーに参加されると、教科書やビデオでは学ぶことができない「オーダーメイドの体験」を学ぶことができます。それを持ち帰って臨床現場で実践する。その繰り返しの訓練によって本物の実力が身についてくると思います。

初めて参加された先生には、まずはご自分が治療を受けてその効果を実感する。そして、ご自分の患者さんに施術を行ってその効果を体験する。その繰り返しによってAMの効果を確信し、筋骨格系領域の問題に自信を持って対応できるようになると思います。私たちインストラクターチームは、自信をもってそのことを伝えたいと思い、現状に慢心せず、さらなる高みを目指してライフコンパスアカデミーとしての活動も継続し続けています。

次回6月の大阪セミナーは令和元年最初のセミナーになります。皆様とお会いできるのを楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。

AMI社公認日本地区ディレクター・ANJ代表:保井志之DC

2019年3月16日土曜日

2019年度AMセミナー開催に向けて

いよいよ本年度最初のAMセミナーが414−15日に開催されます。2001年、私が最初に日本のカイロプラクティック大学で、AMI社公認のAMセミナーをさせていただいた際に、特にカイロプラクターやカイロプラクティックの学生に強調したのは、カイロプラクティックのアジャストメントは、構造学的な「ズレ(位置移動)の調整」ではなく、「振動刺激による調整」、すなわち神経学的な調整であるということです。当時、カイロプラクティックがだんだんと日本にも知られてきており、「ボキッ」といわせる手技が、カイロプラクティックの代名詞であるかのように思われていた時代でした。

そんな風潮な中で、アクティベータ器のような軽い振動刺激で神経エネルギーを調整するだけで、十分な施術ができるということを、実技を踏まえて実践的にご紹介させていただきました。アクティベータ療法で効果があるとういことをお見せすることは簡単でしたが、その根底にあるカイロプラクティックに対する考え方、いわゆる哲学を伝えるのは苦労しました。多くの受講者は西洋医学の流れで機械論的な思考で手技療法を考えています。私は、その考えでは代替医療のような自然治癒力を引き出すことを主な目的とする治療者には矛盾が生じるということを語り続けてきました。

機械論的思考から有機論的思考へのパラダイムシフトがなければ、アクティベータ療法の本質は伝わりにくいという信念は現在でも変わりません。ハウツウ的な手法で結果を出すこともできますが、さらに一歩踏み込んで、私達が毎日の臨床で行なっている施術の本質が有機論的思考、すなわち生命エネルギー的な思考に基づいているということを、安全で効果が引き出しやすいアクティベータ療法を通じて、多くの治療者に知っていただければと願っています。

今年も、皆様と共に結果を出せる治療家を目指して参りたいと思います。

ANJ代表 AMI公認日本地区ディレクター 保井志之D.C.

2018年4月19日木曜日

第73回AMセミナー

AMセミナー活動も17年目。多くの受講生がAMの技術技能を修得して、開業されて盛業している話を耳にするようになった。AM認定者が熟練者と呼ばれるようになり、セミナー会場で、初心者に丁寧に教えてくださる光景もそう珍しくはないようになってきた。「初心者」、「認定志願者」、「認定維持者」という3タイプの受講者がバランスよくチームとして学びを深めている様子がうかがえた。

私がAMセミナーを開催させていただいた当初、短い時間ではあったがAMセミナーの合間に、患者教育や治療哲学、さらには人間学のプレゼンもさせていただいた。要らぬお世話と言われそうだったが、人間力を一緒に高めていきましょうという願いから、「致知」という人間学雑誌もAMセミナーで紹介させていただいた。「致知」の購読はかれこれ約20年になり、今でも人間学の勉強は継続している。現在のAMセミナーでは、患者教育や治療哲学のプレゼンはほとんどしていないが、最近ではそのニーズもなんとなく感じる。

また、SNSSOE対策などのインターネットによる集客に力をいれている開業者も増えてきている。そのような知識や技能も盛業に大切だろう。しかしながら、長い目で見ると患者さんとの深い信頼関係を構築するには、治療家としての人間力が問われる。私は長年のセミナー活動を通じて、多くの先生方との出会いがある。直感的ではあるが、人としての魅力を感じる先生に対しては、多くの患者さんに喜んでいただいていることが想像できる。

多くの患者さんから信頼される治療家になるためには、単に知識、技術だけの能力だけでは貢献できない。人としての「在り方」「人間力」が問われる。どの職業でも同じではあるが、人間力を磨き続けることは必要不可欠だろう。人に役立つための根底には「能力」よりも「人間力」が求められるだろう。人間力というバックボーンがあっての知識や技術的な能力が必要である。LCAでは単に技術技能を提供するだけでなく、治療家としての在り方も深く追求し続ける学習共同体でありたい。


2017年10月20日金曜日

2017年度最後のAMセミナーを終えて

先日、本年度最後のAMI公認セミナーが終了しました。熱心な先生方に参加していただきとても実りのあるセミナーになったと思います。今年から臨床編のプログラムが変更されました。筋肉系へのアプローチや頭蓋骨へのアプローチなどを加えて臨床応用の幅が広がることが期待されます。長く継続していいただいているベテランの先生にも興味深く聴講していただけたのではないでしょうか?

AM公認セミナーが開催されて今年で16年目です。組織が段々と大きくなるにつれて、「アクティベータ器」や「アクティベータ・メソッド」が一人歩きして、思いもかけない問題に遭遇することもあります。今後、10年先、20年先を見据えて、組織全体が一丸となって地域社会からの信頼を高める努力をしていかなくてはなりません。組織の信頼は、数ヶ月や数年でできるものではありません。10年単位でコツコツと組織全体のベクトルを合わせることで成果が得られるものです。

そのために、今年から知的財産権や受講者規約などについてANJスタッフ内で協議して明確に整備しました。一人一人のご協力が、組織全体の社会的な信頼に繋がり、ひいては個人の信頼につながっていくことになると思います。来年もさらにANJの信頼が高まるように、先生方とともに成長し、地域社会に貢献できるように邁進していく所存です。来年度もよろしくお願い致します。