2017年1月30日月曜日

痙性斜頸(頸部ジストニア)の一症例

痙性斜頸(頸部ジストニア)の一症例

経過と考察

2年6ヶ月前から、痙性斜頸を発症し、常に症状を感じているが、特に歩く際、噛むとき、話すときに悪化するとのこと。来院時には仕事ができない状態で、日常生活にも支障を来しているらしい。来院時が今までの症状経過で一番悪いという。

当院に来院するまでに、鍼灸院、通常病院、メンタルクリニック、ペインクリニック上部頸椎のカイロプラクティックを受ける。病院でレントゲンやMRI検査などを受け、投薬治療、漢方薬、ボトックス注射も数回受けたが、良くなったり悪くなったりしているらしい。

症状は大学卒業前の後半ごろから発症。ゼミの活動で、リーダーとして発表したことがきっかけだったらしい。その後、社会人として入社式で人前に出る際など、緊張すると痙性斜頸の症状が生じることを自覚されたとのこと。

痙性斜頸の治療で大切なのは、自分自身の「意識」と「無意識」を理解することなので、通院を重ねてもらいながら、PCRTで示される検査結果に基づいて、今まで意識していなかった自分の「無意識」を理解しやすいようにサポートしていった。施術の後には、施術中に示された「誤作動記憶」の内容に基づいて、家で紙に書き出して、自分の無意識を再認識してもらうこともあった。

9回目の来院では、本人もだいぶん良くなって来たことを自覚されていた。特に印象的だったのは、異性に対する「誤作動記憶」の反応だった。男性(特に若い人)が目に入ると「良く見られなきゃ」と無意識に緊張が首に集中して痙性斜頸の症状が生じ、通り過ぎて視界からなくなると首の緊張が脱力するという。


痙性斜頸の原因はそれだけではないが、施術を通じて、自分の「無意識」の全体像がある程度明確になるにつれて、異性に関する「誤作動記憶」も消失した。完治というまでには至らなかったが、来院当初から比べるとかなり改善されている様子で21回で治療を終えた。

2017年1月26日木曜日

転倒後の膝痛と腰痛の改善

転倒後の膝痛と腰痛の改善

経過と考察

以前通院して下さっていた患者さんが、4ヶ月ぶりぐらいに来院。腰を丸めて背骨がまっすぐに伸ばせない状態で、家から当院に来るまで、恥ずかしさをこらえながらその状態でようやくたどり着いたらしい。

4日前に転倒されたとのこと。すぐに来院したかったが、あいにく当院はセミナーで休みだった。骨折の疑いもあったが、以前、足を骨折した際に、病院での固定の治療よりも、当院で関節のバランスを調整した方が、早く回復した経験があったこと、もし骨折していても、病院に頼るほどひどくはないとご自分で判断されて当院を最初に選択したらしい。

初回の治療で、まっすぐに歩いて帰ることができるまでに回復。次の日の施術では初回の陽性反応が随分改善されていた。その後、膝を曲げることの恐怖感などの反応も示されていた。5年前に膝を痛めた経験があり、その時は膝関節に水がたまったりして、他の医療機関で長く治療を続けたらしい。その経験は、「意味記憶」や「エピソード記憶」として陽性反応が示され、自然治癒力の妨げになっていた。

治療開始から5回目くらいでバイクにも乗れるように回復され、その後も順調に改善されていった。



2017年1月24日火曜日

無意識の疾病利得に気づいて、大笑い!

無意識の疾病利得に気づいて、大笑い!

以前通院されていた患者さんが、急性腰痛を発症(ぎっくり腰)。最近は腰の調子も良くなっていたので、久しぶりに腰痛を発症した感じだった。1回目の施術でかなり改善され、2回目の施術で、原因となる「誤作動記憶」を検査してみると、「大脳辺縁系→意味記憶→疾病利得→治らないことで得られるもの」で陽性反応が示された。

保井:「何か思い当たることはありますか?」
患者:「(腰痛で)得られるのは休みですね(笑い)」

保井:「休むとさらに得られる何かがあるのですね(笑い)」
患者:「そうなのですよ。二日後に役職として責任が重くなるかもしれない会議があるので、腰が痛いとその会議にでなくてもよい理由(言い訳)ができるのですよ・・・」

保井:「そうですか・・・そうすると腰痛を治すというのは罪深いことですね。」(笑い)
患者:「そうです。腰痛が治ると私は行きたくない会議に出席しなくてはならなくなるのですよ。(大笑い)」

帰り際に、

患者:「先生、これで腰痛が治りそうなので、二日後の行きたくない会議には出席しなければならないようになりました・・・(笑い)」
保井:「行きたくない会議への出席をサポートしてしまい、私は罪深い治療者ですね・・・(笑い)」

本症例の患者さんは、当院で使っているPCRTのコンセプトを理解して信頼してくださっている。また、ご自身でも心の奥の無意識に耳を傾けようとしているので、素直に「疾病利得」に関する反応にも理解を示され、その反応を笑い飛ばしていた。

「疾病利得」に関係する「意味記憶」は、幅が広く、子供から大人まで多くの人が多かれ少なかれ経験しているだろう。例えば、子供が学校に行きたくないときに、お腹が痛くなるとか、子供が病気になることで、いつも以上に母親が優しく、構ってくれたりすると、病気になることでご褒美がもらえるかのような思い込みをしてしまうなどよくある話である。

「疾病利得」の反応は、奥深い気づきの一つである。その深層心理に気づかれることで、当院から遠ざかる患者さんもいるが、当院での検査結果に価値を見出していただけなければそれも致し方ない。

今回の患者さんのように、無意識の疾病利得に素直に気づいて、その反応を笑い飛ばし、さらなる健康管理や成長へとつなげていただけるようサポートしていきたいと思う。